グレー・コラージュ・ソング
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「そのトリオン量なら今後もトリオン兵に狙われる可能性がある。見合った武器で戦えるようになるのも悪くないと思うけど。正隊員なら給料も出る。それに家壊されたんだろ?玉狛なら空き部屋があるから住み込みでも大丈夫だし。どうだ?」
冗談や思いつきなんかじゃなく、本気の勧誘だった。未知の能力を持つ彼女を抱え込んでおきたい、未来視が通じないから監視の意味で目に付くところに置いておきたい、魔女退治に協力してやりたい、多量のトリオンを持つ彼女はボーダーの役に立つはずだ。色んな思惑が入り混じる中、一番強い気持ちはこれだった。__名字を一人にしてやりたくない。
名字が近界民じゃないか調べたとき、家庭環境のあれこれも知ってしまった。彼女は天涯孤独だ。大学にも行っていない。三門市に魔法少女は彼女だけだと聞いた。彼女の世界は独りぼっちだ。
ボーダーには色んな奴がいる。彼女の仲間にも、友達にもなってくれる奴らが。
名字の決断は予想より早く、あっさりと口を開いた。
「ごめんなさい」
「わたしが魔法少女をやってるのは趣味でも慈善でもなくて、全部自分の為。お金無いからバイトもしなきゃいけないし。正直、ボーダーに入って訓練とか任務とかに割ける時間は無い、と思う。でも……」
名字がちらとボスの顔を窺う。ボスは黙ったままだ。
「でも、こうして誘ってくれたり、色々親切にしていただいて感謝しています。……ありがとうございます」
おれたちに向かって深々と頭を下げた。宇佐美はちょっと残念そうにいじいじしている。ボスは小さく息を吐いて、それから名字の顔をしっかりと見つめて言った。
「そうか……。全部お前の人生だ。楽しくやれよ」
覚悟を秘めた瞳が、何よりも雄弁な答えだった。
「名前ちゃーん、またいつでも遊びに来てね〜〜」
「ほんと?やった」
「ちなみに名字はおれと同い年だからな」
「えっ!?嘘!?」
「本当か迅」
「林藤さんまで……」
「名前」
夕日が照らす帰り道、行く手を遮るように目の前に現れたのは小さな白い影。キュゥべえだ。最近見ていなかったのでなんだか久しぶりに感じる。……キュゥべえだけじゃない。街路樹の影からひょっこり見慣れない女の子が顔を出した。八重歯が素敵な、活発そうな女の子。
「新しい魔法少女を連れて来たよ」
「初めまして!
新たな出会い。