グレー・コラージュ・ソング
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「なあ迅。モールモッドの件、前にお前が言ってた……」
「うん。おれは十中八九彼女だと思ってるよ」
「もしそれが正しかったとして、どうやって上層部に報告するんだ?とてもあいつらが納得するとは思えないぜ」
「……未来が見えるんだ。玉狛に誰かが、宇佐美やボスが一緒にいる」
「その“誰か”が彼女だと?」
「多分ね。でも、名字の未来はどうやっても見えないんだ」
ボスはあーどうすっかな、と頭を掻いた。珍しく困惑の色が見えた。その気持ちはよく分かる。彼女の魔法を見たのはおれ一人だ。それに加えて彼女の未来が見えないって言うんだから、名字はボーダーにとって明らかな不確定要素なのだ。外からの異質な存在という面では遊真と似た状況だけど、遊真には父・空閑有吾と上層部の、そして遊真自身とメガネくんとの繋がりがあった。
「玉狛にいるってことは、もしかしたらボーダーに入ることになるのかもしれない」
まだ全然分からないけどね、と大袈裟に肩をすくめて見せた。ボスは煙草をふかした後、いつものように笑った。
「おし、その子を支部に連れて来い。話はそっからだ」
「迅、了解」
「名字さー、この間の大規模侵攻のとき何してた?」
今回迅くんに呼び出されたのはハンバーガーチェーン店。連絡が来た時は、大規模侵攻で大怪我とかしてなさそうで大変ホッとした。今日も奢ってくれるらしい。遠慮なくビックチーズクイーンバーガーセットを頼ませていただく。レジのお姉さんからトレーを受け取ってわたしは席に着いた。
「避難してたよ」
「住んでるのどの辺りだっけ?」
「三門市の上の方。線路よりは内側だけど」
それがどうかした?と何でもないように返すが、内心冷や汗ダラダラだ。大規模侵攻の時何をしていたかなんて、一般市民にわざわざ聞くようなことじゃない。迅くんはへぇーと目を細めて笑った。
「回りくどく突いてもなんだから聞くけど、トリオン兵倒したりした?」
「とりおんへい?」
「あー白っぽい近界民。これこれ」
一枚の写真を目の前に置いた。それは正しく、わたしが大規模侵攻で蹴散らした白いサソリのような近界民だった。
「一人で27体も倒したんだってな〜。隊員だったら二級戦功か一級戦功並みの働きだよ。」
手を伸ばして呑気に頭をぽすぽす撫でてくるが、それどころじゃない。完全にバレてる。
「……誰かに見られてた?」
「いや?名字を目撃した奴はいないと思うよ。ただこいつらからトリガーで倒された反応が無かったからもしかして、と思って」
トリガーは確かボーダーが使う武器だ。そんなことまで調べられるのか……。技術力がすごい。あの時はただ倒さなきゃ戦わなきゃの一心で動いてたけど、勝手に敵を倒されるのボーダー的には心象良くないのかな。
「悪いようにはしないからさ、ちょっとついて来てくれない?」
「それは、あのどでかい基地に連れて行くみたいな……?」
迅くんはいつも以上に余裕そうな顔でゆるゆると首を振った。
「おれたちの、玉狛支部へだよ」
「ただいまー。宇佐美いるー?」
「おかえり〜。おっ!?迅さんが可愛い女の子連れてる!」
支部と言えどもボーダーの機関なわけだから心臓バックバクで付いて来たが、想像以上にアットホームだ。カピバラって室内で飼えるんだ……。
「迅さんの彼女さん!?アタシ宇佐美栞、よろしくね!!」
メガネの女の子が興奮した様子で駆け寄ってきた。パワフルな子だ。手をがっしりと掴まれてぶんぶん振られた。
「彼女じゃないって、ちょっとお客さん」
「ハッお菓子!お菓子用意しなきゃ!」
「聞いちゃいねえ……」
ぱっと手を離すと、パタパタと奥へ消えていった。緊張してただけに、なんか拍子抜けだ。心なしか、隣の迅くんもぐったりして見える。
「女子って本当恋バナとか好きだよな」
「迅くん、彼女じゃないってちゃんと否定しといてよ」
「うん。おれは十中八九彼女だと思ってるよ」
「もしそれが正しかったとして、どうやって上層部に報告するんだ?とてもあいつらが納得するとは思えないぜ」
「……未来が見えるんだ。玉狛に誰かが、宇佐美やボスが一緒にいる」
「その“誰か”が彼女だと?」
「多分ね。でも、名字の未来はどうやっても見えないんだ」
ボスはあーどうすっかな、と頭を掻いた。珍しく困惑の色が見えた。その気持ちはよく分かる。彼女の魔法を見たのはおれ一人だ。それに加えて彼女の未来が見えないって言うんだから、名字はボーダーにとって明らかな不確定要素なのだ。外からの異質な存在という面では遊真と似た状況だけど、遊真には父・空閑有吾と上層部の、そして遊真自身とメガネくんとの繋がりがあった。
「玉狛にいるってことは、もしかしたらボーダーに入ることになるのかもしれない」
まだ全然分からないけどね、と大袈裟に肩をすくめて見せた。ボスは煙草をふかした後、いつものように笑った。
「おし、その子を支部に連れて来い。話はそっからだ」
「迅、了解」
「名字さー、この間の大規模侵攻のとき何してた?」
今回迅くんに呼び出されたのはハンバーガーチェーン店。連絡が来た時は、大規模侵攻で大怪我とかしてなさそうで大変ホッとした。今日も奢ってくれるらしい。遠慮なくビックチーズクイーンバーガーセットを頼ませていただく。レジのお姉さんからトレーを受け取ってわたしは席に着いた。
「避難してたよ」
「住んでるのどの辺りだっけ?」
「三門市の上の方。線路よりは内側だけど」
それがどうかした?と何でもないように返すが、内心冷や汗ダラダラだ。大規模侵攻の時何をしていたかなんて、一般市民にわざわざ聞くようなことじゃない。迅くんはへぇーと目を細めて笑った。
「回りくどく突いてもなんだから聞くけど、トリオン兵倒したりした?」
「とりおんへい?」
「あー白っぽい近界民。これこれ」
一枚の写真を目の前に置いた。それは正しく、わたしが大規模侵攻で蹴散らした白いサソリのような近界民だった。
「一人で27体も倒したんだってな〜。隊員だったら二級戦功か一級戦功並みの働きだよ。」
手を伸ばして呑気に頭をぽすぽす撫でてくるが、それどころじゃない。完全にバレてる。
「……誰かに見られてた?」
「いや?名字を目撃した奴はいないと思うよ。ただこいつらからトリガーで倒された反応が無かったからもしかして、と思って」
トリガーは確かボーダーが使う武器だ。そんなことまで調べられるのか……。技術力がすごい。あの時はただ倒さなきゃ戦わなきゃの一心で動いてたけど、勝手に敵を倒されるのボーダー的には心象良くないのかな。
「悪いようにはしないからさ、ちょっとついて来てくれない?」
「それは、あのどでかい基地に連れて行くみたいな……?」
迅くんはいつも以上に余裕そうな顔でゆるゆると首を振った。
「おれたちの、玉狛支部へだよ」
「ただいまー。宇佐美いるー?」
「おかえり〜。おっ!?迅さんが可愛い女の子連れてる!」
支部と言えどもボーダーの機関なわけだから心臓バックバクで付いて来たが、想像以上にアットホームだ。カピバラって室内で飼えるんだ……。
「迅さんの彼女さん!?アタシ宇佐美栞、よろしくね!!」
メガネの女の子が興奮した様子で駆け寄ってきた。パワフルな子だ。手をがっしりと掴まれてぶんぶん振られた。
「彼女じゃないって、ちょっとお客さん」
「ハッお菓子!お菓子用意しなきゃ!」
「聞いちゃいねえ……」
ぱっと手を離すと、パタパタと奥へ消えていった。緊張してただけに、なんか拍子抜けだ。心なしか、隣の迅くんもぐったりして見える。
「女子って本当恋バナとか好きだよな」
「迅くん、彼女じゃないってちゃんと否定しといてよ」