真の思いやりとは…(作成中)
イメージ曲 奥田美和子「青空の果て」
エイトSIDE
「!!……これは一体……___」
鳴り止まない断末魔の悲鳴に激しい破壊音、轟く崩壊
祈る気持ちと震える手で、酒場の扉を開け中を見れば
鼻奥を容赦なく突く鉄分臭い血の匂いと
無残に割れた、食器類の硝子破片の絨毯
血の海では顔の原型が全く掴めない男達の山
身体中血だらけで有りえない程に腫れ上がり
…正直見ていられない、痛々しくて…でも一体誰が…__
「う゛ぅ゛……痛゛でぇ……痛ぇよ゛ぉ゛…」
そして遥か中央には、数時間前まで楽しく穏やかな一時を共に過ごしていた筈の変わり果てた仲間の姿…__
軽くだけれど、僕なりに彼らが…いやククールが普段と様子が可笑しくなってしまったのだろうとしか想定していなかった
多分酒癖の悪い人達に酷く絡まれて機嫌が最高値まで悪くなって
ヤンガスみたいにキレてふざけ半分に乱闘騒ぎしているだけ……
そう思い込みたかった弱腰の自分自身に腹が立つ
どんな彼とも逃げずに真正面からぶつかると
皆にも宣言したのに何やってるんだ僕は…っ!
カチカチに強張った自分の頬を思い切り叩いて
しっかりと喝を入れ直す……よし
今の状況を現状を逃げずに目を見開いて、しかと見ろ
…残党達に跨り殴るククールの表情から痛い程に伝わってくるじゃないか、彼が今何を感じ思うのか…__
何かに祈るように拳を握り締め、泣き叫びながら何度も何度も対象者を攻撃している…__
きっと彼の精神が何らかの理由で壊れた瞬間、普段押し殺してきた【自らの狂気】に呑まれて、その感覚についていけず大暴走しているんだ
…僕には分かるんだ
何故なら、僕もその体験者の一人だから…__
エイトSIDE修了
「ゼシカ…っ!!」
「Σえ…エイト!……っう……ふ、ククールが……ククールがぁ…!」
ずっと頭の中で助けを求めていた人物が眼前に来たと同時に、ゼシカの極限まで張っていた緊張の糸がプツリと切れた
そしてその場に崩れ落ちると同時に大粒の涙と鼻水を豪快に流しながら、天井を見上げながら壊れたようにワンワン泣くゼシカ
そんなゼシカを一瞬力強く抱き締め、柔らかい彼女の橙色の髪を数回撫で労いの言葉をかけるエイト
「…本当にありがとう、ゼシカ…__
か弱い女の子なのにククールを一人必死に止めてくれて…、君のおかげで死者が出なくて心から感謝してる
よく頑張ったね、…偉い偉い」
「!え……エイトおぉ…!」
「よしよし
さ、…ここは危ない、とにかくここから離れて
君はとりあえず倒れている人達を壁際へ運んで、後から僕が回復呪文で治療するから」
胸の中からゼシカを離すと、気配と足音を完全に消しながら静かにククールへ歩みを進めるエイト
完全に吹っ切れたのか、今の彼には不思議と小さな余裕すら感じさせる揺るがない意思と気迫すら垣間見える
「…エイト…__」
背後で心配そうに見つめるゼシカを
一時振り返り、数秒見つめるエイト
彼女を安心させる為に慣れないウインクをし
「僕に任せて」と自信満々に言う彼
しかしゼシカから返ってきた反応は
安堵の表情ではなく、たった一声の笑い声だった
…きっとエイトのウインク顔は
壊滅的なまでに変だったのであろう
「……ククール
必ず君を狂気の世界から連れ戻してあげる」
後数センチでククールに接触出来る…という距離に差し掛かった瞬間、凄まじい風圧を纏った彼の拳がエイトの顔目がけ、飛び道具みたいに飛んでくる
その猛攻撃をエイトは鉄の槍で全力で防ぎ、至近距離でククールの目を、射抜く勢いで集中して見続ける
「……ふふ………酷い眼だ、まるで昔の僕のようだね、君は…__」
懐かしい…__
遠い昔、同じ目にあった自分自身を今のククールに重ねながら慈愛に満ちた瞳を、ククールに向けるエイト
世界の何一つ映していない虚無の境地とも呼べる…、もう一人の自分に乗っ取っられた存在にしか出ない独特な【虚ろな眼】
耳障りな金属音と身を切り裂くような
鋭い殺気の嵐が、鳴り止まない…__
警戒心を溶かしながら
慎重にククールの頬にエイトは手を伸ばす
「………今…ククールの体を完全に乗っ取っているのは…ククールに押し殺されたもう一人の【狂気】の君、…魂の半分である君だね?」
「…………」
返答はない
「……やっぱり返答はなしか…
でも、今ここで肉体の主であるククールを取り込んだって、問題は何一つ変わらない
……きっと君は、ククールを恨んでる訳でも嫌っている訳でも憎んでいる訳でもなくて、…本当は魂の半分であるククールに愛してほしいだけなんだよね
……今の彼には、まだまだ君を心から愛したりする事も、大事にする事も中々出来ないとは思うけれど
彼が人間的に成長して人も自分自身も大事にして、愛する事が出来るようになったら、絶対もう一人の君も大事にしてくれる…僕が保証する
…でもこのまま君が体を乗っ取っり続けたら、本体であるククールは、君の莫大なエネルギーで死んで廃人と化してしまう
…最悪な事態に、取り返しのつかない事になる前に、早く君のあるべき世界へ今は戻って眠るんだ…__」
「………………」
ククールの口全体が壊れた機械みたく
高速に、不気味にカタカタ動き始める
「……二度は言わない
ククールの肉体から…器から出ていくんだ」
「……!!!」
「出て行くんだ…っ!!」
エイトの瞳が再度また獰猛で凶悪なドラゴンの眼へ変わり、口両端には鋭く太い牙…そして新たに禍々しくも神聖な翼と長い尻尾が生えた状態に変化した
(※↑お絵描き参照)
「っ!!!!……………」
そして眼前のククールらしき者に強く一喝すれば、彼は一瞬悶絶した後、エイトの胸の中へと崩れ落ちる
「…はぁ〜……
……どうやら禍々しい気配はもうククールの中には何一つ残っていないみたい…もう…大丈夫……」
ククールに便乗するようにエイトも普段の柔らかい状態に戻る、しかしドラゴンへ変身した際マスコットの至る部分に大きな穴が開き、身も心も最早ボロボロだ
「……よいしょっと」
その場にあったテーブルクロスで簡単な枕を作り、意識を手放しているククールをその枕に寝かせればゼシカの元へ行くエイト
「ごめん…少し手こずったみたい
ゼシカ怪我人はどこ…?」
「他人の事よりも少しは自分の心配もしなさいよ…!
まずここに座って…!本当に気づいていないの?
エイト…貴方の体も沢山の擦り傷と切り傷、火傷だらけじゃない…!…私は回復魔法使えないからこれで我慢してね」
近くにあった救急箱から使えそうな物を急ぎ取り出すと、エイトの治療に懸命にあたるゼシカ
傷口を消毒液で叩きながら、静かにゼシカは語り出す
「……どうやってあのククールを元に戻したの?
私は二人が砂煙の中で睨み合って叫んでいるようにしか見えなかったから、気になって…」
染みる消毒液に軽く涙を浮かべながら、失笑しつつポツリポツリと話すエイト
「酷な言い方になっちゃうけど、あれは…ある領域に到達した者同士じゃなくちゃ分からない事なんだ
両親や兄弟…、温かな環境で恵まれて育って、沢山の愛情を受けて育った君は知らなくて良い世界の話さ」
「……そう」
きっと私を冷たくて暗い世界に巻き込まないように、思いやりからエイトはそう言っているんだと思うけど
…何でだろう、何故かそれが余計に悲しくて淋しくて、苦しくて…何だか私は本当に貴方達の仲間なの…?と思ってしまう事が、たまにあるの…__
いつか…もっと本気で貴方やククール達と衝突して、腹の中を全力で見せ合えば、いつかは私達【本当の仲間】になれるのかな…?
エイトSIDE
「!!……これは一体……___」
鳴り止まない断末魔の悲鳴に激しい破壊音、轟く崩壊
祈る気持ちと震える手で、酒場の扉を開け中を見れば
鼻奥を容赦なく突く鉄分臭い血の匂いと
無残に割れた、食器類の硝子破片の絨毯
血の海では顔の原型が全く掴めない男達の山
身体中血だらけで有りえない程に腫れ上がり
…正直見ていられない、痛々しくて…でも一体誰が…__
「う゛ぅ゛……痛゛でぇ……痛ぇよ゛ぉ゛…」
そして遥か中央には、数時間前まで楽しく穏やかな一時を共に過ごしていた筈の変わり果てた仲間の姿…__
軽くだけれど、僕なりに彼らが…いやククールが普段と様子が可笑しくなってしまったのだろうとしか想定していなかった
多分酒癖の悪い人達に酷く絡まれて機嫌が最高値まで悪くなって
ヤンガスみたいにキレてふざけ半分に乱闘騒ぎしているだけ……
そう思い込みたかった弱腰の自分自身に腹が立つ
どんな彼とも逃げずに真正面からぶつかると
皆にも宣言したのに何やってるんだ僕は…っ!
カチカチに強張った自分の頬を思い切り叩いて
しっかりと喝を入れ直す……よし
今の状況を現状を逃げずに目を見開いて、しかと見ろ
…残党達に跨り殴るククールの表情から痛い程に伝わってくるじゃないか、彼が今何を感じ思うのか…__
何かに祈るように拳を握り締め、泣き叫びながら何度も何度も対象者を攻撃している…__
きっと彼の精神が何らかの理由で壊れた瞬間、普段押し殺してきた【自らの狂気】に呑まれて、その感覚についていけず大暴走しているんだ
…僕には分かるんだ
何故なら、僕もその体験者の一人だから…__
エイトSIDE修了
「ゼシカ…っ!!」
「Σえ…エイト!……っう……ふ、ククールが……ククールがぁ…!」
ずっと頭の中で助けを求めていた人物が眼前に来たと同時に、ゼシカの極限まで張っていた緊張の糸がプツリと切れた
そしてその場に崩れ落ちると同時に大粒の涙と鼻水を豪快に流しながら、天井を見上げながら壊れたようにワンワン泣くゼシカ
そんなゼシカを一瞬力強く抱き締め、柔らかい彼女の橙色の髪を数回撫で労いの言葉をかけるエイト
「…本当にありがとう、ゼシカ…__
か弱い女の子なのにククールを一人必死に止めてくれて…、君のおかげで死者が出なくて心から感謝してる
よく頑張ったね、…偉い偉い」
「!え……エイトおぉ…!」
「よしよし
さ、…ここは危ない、とにかくここから離れて
君はとりあえず倒れている人達を壁際へ運んで、後から僕が回復呪文で治療するから」
胸の中からゼシカを離すと、気配と足音を完全に消しながら静かにククールへ歩みを進めるエイト
完全に吹っ切れたのか、今の彼には不思議と小さな余裕すら感じさせる揺るがない意思と気迫すら垣間見える
「…エイト…__」
背後で心配そうに見つめるゼシカを
一時振り返り、数秒見つめるエイト
彼女を安心させる為に慣れないウインクをし
「僕に任せて」と自信満々に言う彼
しかしゼシカから返ってきた反応は
安堵の表情ではなく、たった一声の笑い声だった
…きっとエイトのウインク顔は
壊滅的なまでに変だったのであろう
「……ククール
必ず君を狂気の世界から連れ戻してあげる」
後数センチでククールに接触出来る…という距離に差し掛かった瞬間、凄まじい風圧を纏った彼の拳がエイトの顔目がけ、飛び道具みたいに飛んでくる
その猛攻撃をエイトは鉄の槍で全力で防ぎ、至近距離でククールの目を、射抜く勢いで集中して見続ける
「……ふふ………酷い眼だ、まるで昔の僕のようだね、君は…__」
懐かしい…__
遠い昔、同じ目にあった自分自身を今のククールに重ねながら慈愛に満ちた瞳を、ククールに向けるエイト
世界の何一つ映していない虚無の境地とも呼べる…、もう一人の自分に乗っ取っられた存在にしか出ない独特な【虚ろな眼】
耳障りな金属音と身を切り裂くような
鋭い殺気の嵐が、鳴り止まない…__
警戒心を溶かしながら
慎重にククールの頬にエイトは手を伸ばす
「………今…ククールの体を完全に乗っ取っているのは…ククールに押し殺されたもう一人の【狂気】の君、…魂の半分である君だね?」
「…………」
返答はない
「……やっぱり返答はなしか…
でも、今ここで肉体の主であるククールを取り込んだって、問題は何一つ変わらない
……きっと君は、ククールを恨んでる訳でも嫌っている訳でも憎んでいる訳でもなくて、…本当は魂の半分であるククールに愛してほしいだけなんだよね
……今の彼には、まだまだ君を心から愛したりする事も、大事にする事も中々出来ないとは思うけれど
彼が人間的に成長して人も自分自身も大事にして、愛する事が出来るようになったら、絶対もう一人の君も大事にしてくれる…僕が保証する
…でもこのまま君が体を乗っ取っり続けたら、本体であるククールは、君の莫大なエネルギーで死んで廃人と化してしまう
…最悪な事態に、取り返しのつかない事になる前に、早く君のあるべき世界へ今は戻って眠るんだ…__」
「………………」
ククールの口全体が壊れた機械みたく
高速に、不気味にカタカタ動き始める
「……二度は言わない
ククールの肉体から…器から出ていくんだ」
「……!!!」
「出て行くんだ…っ!!」
エイトの瞳が再度また獰猛で凶悪なドラゴンの眼へ変わり、口両端には鋭く太い牙…そして新たに禍々しくも神聖な翼と長い尻尾が生えた状態に変化した
(※↑お絵描き参照)
「っ!!!!……………」
そして眼前のククールらしき者に強く一喝すれば、彼は一瞬悶絶した後、エイトの胸の中へと崩れ落ちる
「…はぁ〜……
……どうやら禍々しい気配はもうククールの中には何一つ残っていないみたい…もう…大丈夫……」
ククールに便乗するようにエイトも普段の柔らかい状態に戻る、しかしドラゴンへ変身した際マスコットの至る部分に大きな穴が開き、身も心も最早ボロボロだ
「……よいしょっと」
その場にあったテーブルクロスで簡単な枕を作り、意識を手放しているククールをその枕に寝かせればゼシカの元へ行くエイト
「ごめん…少し手こずったみたい
ゼシカ怪我人はどこ…?」
「他人の事よりも少しは自分の心配もしなさいよ…!
まずここに座って…!本当に気づいていないの?
エイト…貴方の体も沢山の擦り傷と切り傷、火傷だらけじゃない…!…私は回復魔法使えないからこれで我慢してね」
近くにあった救急箱から使えそうな物を急ぎ取り出すと、エイトの治療に懸命にあたるゼシカ
傷口を消毒液で叩きながら、静かにゼシカは語り出す
「……どうやってあのククールを元に戻したの?
私は二人が砂煙の中で睨み合って叫んでいるようにしか見えなかったから、気になって…」
染みる消毒液に軽く涙を浮かべながら、失笑しつつポツリポツリと話すエイト
「酷な言い方になっちゃうけど、あれは…ある領域に到達した者同士じゃなくちゃ分からない事なんだ
両親や兄弟…、温かな環境で恵まれて育って、沢山の愛情を受けて育った君は知らなくて良い世界の話さ」
「……そう」
きっと私を冷たくて暗い世界に巻き込まないように、思いやりからエイトはそう言っているんだと思うけど
…何でだろう、何故かそれが余計に悲しくて淋しくて、苦しくて…何だか私は本当に貴方達の仲間なの…?と思ってしまう事が、たまにあるの…__
いつか…もっと本気で貴方やククール達と衝突して、腹の中を全力で見せ合えば、いつかは私達【本当の仲間】になれるのかな…?
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