風紀委員長の日常
Target.07 二人乗りした件について
応接室で書類の処理をしてた途中に鳴った電話は、それなりに物騒な内容だった。
「死体の処理を頼む。沢田家で待ってるゾ」
「貸しひとつね」
電話を切られる。あーなるほど。原作の話だな。たしか、ボンゴレの特殊工作員が出るん、だっけ?
「(面倒だが行かなきゃな)」
バイクの鍵をデスクから取り出したりと、出かける準備をする。
「でかけるのか?」
来客用のソファに座り、ボクシング雑誌を読んでいた笹川が声をかけてきた。おい、今日は学校休みのはずだぞ……なんか、こいつが応接室に居るの違和感なくなってきちまったな。
「少しね。草壁が来たら僕は出かけてるって言っておいて」
「いや、オレもついてくぞ?」
雑誌を閉じた笹川がキョトンとした顔でそう伝える。は?
「ついてこないでよ」
「別にいいではないか。それに、オレも久しぶりにバイクに乗りたい!」
「やだ」
「なぜだ!!」
「そうやって耳元で叫ぶから」
笹川は抗議の声を繰り返す。いや、だって、原作にお前居なかったやん。
「むぅ……」
「むくれてもダメ」
しばらく駄々こねてたけど、急に静かになったかと思ったら応接室から出ていった。諦めたか。まったく、駄々とかまるで子供だ。いや、中学生だし子供なのも当たり前か。
「(さて、邪魔は居なくなったな)」
さっさといかないと話が終わってしまう。所々の戸締まりをしてから応接室を出て、駐車場まで歩く。
「遅かったではないか!」
……笹川が良い笑顔でバイクの後部に座ってた。おい、いい加減にしろ笹川。なんでこういうときだけ知恵がまわるんだ。
「降りろ笹川」
「極限に! 嫌だ!!」
笹川のパーカーを掴んで引きずり下ろそうとするが、笹川はバイクにしがみついて降りようとしない。
「なんでそんなについて行きたがるの」
「そ、それは……ヒヒヒヒマだからだ!」
「嘘だね」
「ぐっ」
なにを意地になってるのだか。我慢しなさい。そのうち未来で乗れるんだから。ぐいぐいと笹川のパーカーを引っ張る。顔を伏せた笹川が、ポツリとなにかを呟いた。
「なに?」
聞こえなかった。なんて言った? 笹川の顔を覗き見ようとしたが、ふいと逆方向に反らされた。
「ねえ、こっち見なよ」
そう言った次の瞬間、バッと笹川はこっちに勢いよく振り向いた。
「~~っ!! だから!! オレはお前と、ヒバリと一緒に居たい!!」
笹川は耳まで赤く染めて、そう吠えた。羞恥心で目が少し潤んでいる。
「(速報 推しが最高に尊い)」
「……文句あるか!」
そんな顔で睨んでも可愛いだけだぞ笹川。あーかわいい。
「そんなに一緒に居たいなら好きにすれば?」
そうクールに伝えるが内心すげえことになってます。推しの尊さのせいで脳内ファンファーレ鳴ってるわ。
まあ、沢田家に上がらせずに外に待たせとけば良いだろ。そう自己解決した。笹川に予備のヘルメットを被せてバイクに跨がる。
「ヒバリは被らないのか?」
「窮屈だからいらない」
「なっ!? 危ないからお前もかぶ「口閉じないと舌噛むよ」ぅお!?」
バイクを急発進させる。慌ててしがみついてきた笹川に笑みがこぼれた。
「バイクはいいな! 風が極限に気持ちいいぞ!」
笹川がはしゃぐ。耳元で騒ぐなうるさいぞ……用事が終わったらちょっと遠出でもしようかな。別に笹川のためではない。僕が風を感じたいだけだ。断じて笹川のためではない。
応接室で書類の処理をしてた途中に鳴った電話は、それなりに物騒な内容だった。
「死体の処理を頼む。沢田家で待ってるゾ」
「貸しひとつね」
電話を切られる。あーなるほど。原作の話だな。たしか、ボンゴレの特殊工作員が出るん、だっけ?
「(面倒だが行かなきゃな)」
バイクの鍵をデスクから取り出したりと、出かける準備をする。
「でかけるのか?」
来客用のソファに座り、ボクシング雑誌を読んでいた笹川が声をかけてきた。おい、今日は学校休みのはずだぞ……なんか、こいつが応接室に居るの違和感なくなってきちまったな。
「少しね。草壁が来たら僕は出かけてるって言っておいて」
「いや、オレもついてくぞ?」
雑誌を閉じた笹川がキョトンとした顔でそう伝える。は?
「ついてこないでよ」
「別にいいではないか。それに、オレも久しぶりにバイクに乗りたい!」
「やだ」
「なぜだ!!」
「そうやって耳元で叫ぶから」
笹川は抗議の声を繰り返す。いや、だって、原作にお前居なかったやん。
「むぅ……」
「むくれてもダメ」
しばらく駄々こねてたけど、急に静かになったかと思ったら応接室から出ていった。諦めたか。まったく、駄々とかまるで子供だ。いや、中学生だし子供なのも当たり前か。
「(さて、邪魔は居なくなったな)」
さっさといかないと話が終わってしまう。所々の戸締まりをしてから応接室を出て、駐車場まで歩く。
「遅かったではないか!」
……笹川が良い笑顔でバイクの後部に座ってた。おい、いい加減にしろ笹川。なんでこういうときだけ知恵がまわるんだ。
「降りろ笹川」
「極限に! 嫌だ!!」
笹川のパーカーを掴んで引きずり下ろそうとするが、笹川はバイクにしがみついて降りようとしない。
「なんでそんなについて行きたがるの」
「そ、それは……ヒヒヒヒマだからだ!」
「嘘だね」
「ぐっ」
なにを意地になってるのだか。我慢しなさい。そのうち未来で乗れるんだから。ぐいぐいと笹川のパーカーを引っ張る。顔を伏せた笹川が、ポツリとなにかを呟いた。
「なに?」
聞こえなかった。なんて言った? 笹川の顔を覗き見ようとしたが、ふいと逆方向に反らされた。
「ねえ、こっち見なよ」
そう言った次の瞬間、バッと笹川はこっちに勢いよく振り向いた。
「~~っ!! だから!! オレはお前と、ヒバリと一緒に居たい!!」
笹川は耳まで赤く染めて、そう吠えた。羞恥心で目が少し潤んでいる。
「(速報 推しが最高に尊い)」
「……文句あるか!」
そんな顔で睨んでも可愛いだけだぞ笹川。あーかわいい。
「そんなに一緒に居たいなら好きにすれば?」
そうクールに伝えるが内心すげえことになってます。推しの尊さのせいで脳内ファンファーレ鳴ってるわ。
まあ、沢田家に上がらせずに外に待たせとけば良いだろ。そう自己解決した。笹川に予備のヘルメットを被せてバイクに跨がる。
「ヒバリは被らないのか?」
「窮屈だからいらない」
「なっ!? 危ないからお前もかぶ「口閉じないと舌噛むよ」ぅお!?」
バイクを急発進させる。慌ててしがみついてきた笹川に笑みがこぼれた。
「バイクはいいな! 風が極限に気持ちいいぞ!」
笹川がはしゃぐ。耳元で騒ぐなうるさいぞ……用事が終わったらちょっと遠出でもしようかな。別に笹川のためではない。僕が風を感じたいだけだ。断じて笹川のためではない。