ミスティー島
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潜水艦から降り立った船着き場は、島の中心地にある街から少し離れた場所らしく…近くにはそれらしい建物が見えない。
それにしても…思ったより船が多い。もちろん海賊船ではなく、一般?の船だけど。
不思議に思いつつも、早く買い物をしたい私はいつものように隣に立っているローの服を引っ張った。
「街、あっち?」
「そう急ぐなよ。
オイ、俺とクコは先に街に出る。
…後は任せたぞ」
「アイアイ!」
石畳の道を指さしていた私の手を取ったローは、シャチやベポ達に雑用というか、後処理?を丸投げして歩き始めた。
まぁ船長だし、良いのかもしれないけど…私も何か手伝った方が良いんじゃないかと思ってローを見上げると、フン。と鼻で笑われた。
そりゃ私が手伝えるようなことは殆ど無いし、邪魔かもしれないが…申し訳ない気持ちがほんのりある。
「ペンギンさん…!」
偶然?近くに居たペンギンを振り仰ぎ声をかけると、ニッコリ微笑まれた。
「こっちは気にせず行ってこい、クコ。
服とか必要だろ?」
そう言ったペンギンは少し屈みこんで私の耳元で囁いた。
「キャプテンのご機嫌とり、頼んだぞ」
…なるほど、私は生け贄か。
なんだか微妙な気持ちになったとき、私に合わせて立ち止まっていたローがグイッと私の手を引っ張る。
全く、ローったらそんなに街へ行きたいのか。仕方がないなー。と絶対そんなわけが無いだろう事を思いながらペンギンに、行ってきます。と手を振って歩き出した。
石畳の道は小高い丘に続いており、登り切ると、船着き場から見えなかった街が一望できた。
そこから見える景色は、石畳と同じ石で出来た建物と、その建物と同じ位大きなパンジーかビオラかそんな感じの花が咲いている街並み、その奥には海と空が一望できたが…全く興味の無い様子のローはサッサと丘を下っていく。
もう少し見ていたかったような気もするが、それより…異様に大きな花が気になる。…まさか、人食い花じゃあるまいな?
ドキドキしながら着いた街は、賑わっていた。
そんな人混みは、ローに気がつき…一瞬騒然となったが、全く意に介さない様子で堂々と歩くローを見たからか、その波も引いていった。
その騒然となった時に、ついでにと言うか、当然というか…私も超見られていて辛かった。私は一般人なので、見ないでいただきたい。
そうして街に着いた時から堂々と、迷う様子も見せずに歩いているローが入ったのは、服屋だった。
店内のあちこちに、さっき見たようなデザインの服が沢山かけてあって、その間を縫うように奥へと進むと…とても大柄でインパクトのある大きな唇の女性がカウンターに座っていた。
「おや、いらっしゃい」
「これを買う。
ここで着替えさせても良いか?」
バン!とローがカウンターに置いたのは、可愛らしいレースの襟の付いた花の刺繍入りチュールスカートのワンピースだった。
…ロー、女装趣味があったの?とドン引きした目で見ると、お前のだ。と真顔で返された。
「はいよ。着替えはここを使いな」
「悪いな」
私はやたら可愛いワンピースを押しつけられ、着替えスペースに押し込まれた。