近付く
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私が過去に行って戻ってきた日の翌朝、何故かローが不法侵入してまで私を起こしてくれました。
わざわざ能力使ってまで私の部屋に入る理由が知りたいような、知りたくないような…。
「…いい加減、目が覚めたか?」
ガッツリ私のベットに上がり込み、あまつさえ添い寝するように隣に転んでいる男というか、ローが笑みを浮かべながら私の顔を覗き込み、グリグリと私の頭を撫でている。
正直ローがベッドに上がり込んだ辺りで起きたし、何事かとコソコソと様子を見ていたら…何をするわけでもなく、ただ隣で私を凝視するだけ。
いい加減に起きるか。と頭を上げたら…上記の通りの状態になったわけですよ。
「まぁ…そんだけ頭揺すられれば嫌でも起きるわ」
しつこく頭を撫でてくる手を払いのけ、ベッドから飛び降りる。
「着替えるから出て行ってくれるかな、ロー?」
着替えのTシャツとツナギを取り出しながら、ローを仰ぎ見ると…不思議そうな表情でこちらを見ているではないか。
なんだかイラッとしたので、いいから出てけ!と、部屋から追い出した。
まぁ、能力を使えば入ってきたときと同じように入ってこれるから、今まで出したことのないスピードで着替えて、部屋からダッシュで出た。
廊下にはまだローが突っ立っていて、やっと来たか。という表情で私を見た後、行くぞ。と踵を返した。
どうやら子供の時と変わらず自由人のようで…、ここも私が大人になって後をついていってあげますか。
寛大な心で向かう先は、どうやら食堂のようで…朝食かぁ-。
「あ、キャプテン!」
「おはようございます!」
躊躇いもなく扉を開けたローは次々に部下というか、クルーというか…ともかく声をかけられつつ、それに適当に返事をしながら指定席に座ったので、私も指定席になりつつある場所――といってもローの隣だが――に座る。
「おはようございます、キャプテン。それに、クコも。
消えていた間はどうなることかと心配したが、無事みたいで安心したぞ」
座って早々、ペンギンさんがローと私の前に朝食をのせたトレーを置きつつ、声をかけてきた。
どうやらペンギンさんにも迷惑をおかけしたようで、申し訳ない気持ちになる。
「おはようございます、ペンギンさん。
昨日、散々ローに診てもらったので、全く異常ないです。
他の方々にもご迷惑おかけしてしまったみたいで…すみませんでした――って、おい。ロー!私の焼き魚盗るな!
…え、骨取ってくれるって?ありがとう!」
ペンギンさん達に謝罪をして頭を下げていると、私の焼き魚の皿がローに持って行かれたのでローに怒ると、骨抜きして返してくれるという優しい申し出を受けたので、ありがたく受け入れていると…さっきまで賑やかだった周りがいやに静かなことに気がついた。
なんだなんだ?と思いながら卵焼きを頬張りながら周りを見回していると、困惑した感じでシャチが、おい。と私に声をかけてきた。
「なんでクコちゃんってば、急にキャプテンにタメ口なの…?」
シャチの問いかけに思わず首を傾げてローを見ると、ローも不思議そうな顔をしていて…なんとなく二人で同時にシャチを見ると、オロオロとシャチが助けを求めるようにペンギンさんを見た。
「えっと、ですね…、俺も気になりました。
急に親しげに…いや、キャプテンは元々そういう扱いをしていた気もしますが…クコのキャプテンへの態度が余りにも違いすぎます」
どういう事か説明してください。とオロオロするばかりのシャチとは違い、ペンギンさんは淡々と説明を私に求めてきた。
…あれ?何故ローじゃなくて私なんだ??
「…えっと、なんていいますか…昔馴染みだったのを思い出したとか…、なんかそんな感じでお願いします」
相当しどろもどろになったけど、我ながらいい感じの嘘がつけたな!と思ったんだけど…ペンギンさんは素早くローの方へ顔を向け、そうなんですか?と確認をしている。
ペンギン、おまえ…。
「まぁ、そんな感じだな。
余計な詮索はせず、好きにさせておけ」
「アイアイ、キャプテン!」
素早くクルー達がローの発言に返事をしたかと思うと、何事も無かったかのように食事に戻っていく…。
当然といえば当然なんだが、私とローとの扱いの差が若干腹立たしい。
「…ローの癖に生意気だ」
もぐもぐとローから受け取った焼き魚を食べながら呟くと、耳ざとく聞きつけたローがニヤニヤと私の頭を撫でた。
…ローって頭撫でるの好きだな。