𝖡𝗅𝖺𝖼𝗄 𝖶𝗁𝗂𝗍𝖾
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「あれー?
エリートトレーナーのナツキさんじゃないですかぁー」
「チッ…またあなたか」
もう何度目になるかわからないやり取りをしつつ、今日はベンチで座っているナツキの隣に勝手に座る。
どうやらココロモリのお手入れをしていたらしく、膝の上でおとなしくしているココロモリをブラッシングしている。
勝手にナツキの膝上のココロモリをナデナデしつつ、いつも連れ歩いているトリミアンをトリミングしてあげるべくブラシを取り出した。
「そういえば、そのポケモンここらじゃ見ないポケモンだよな…どこでゲットしたんだ?」
「えっと…どこだっけ?
…そんなことより、私あの観覧車のってみたいなぁー」
少しわざとらしかった気もするけど…近くの観覧車を指さしてそう言うと、ナツキのココロモリが嫌そうな鳴き声をあげた。
どうしたんだろうとナツキを見ると、心なしか顔色が悪い気が…?
「どうしたの?
…顔色悪いけど」
「そんなにアレに乗りたいのか…?」
「え、あれそんなに危ないの?」
「そうじゃない、そうじゃないが…」
それっきり口を閉ざしたナツキに首をかしげていると、急に立ち上がってココロモリをモンスターボールにしまったかと思うと…私の手首をつかんで歩き始める。
突然のことにビックリだけどとりあえずトリミアンをボールにもどして、ナツキについていく。
…どうやら観覧車の方に向かってるみたいである。
さっきまであんなにモゴモゴ言ってたのにどういう風の吹き回しだろうか?
まぁ、なんにせよ2人じゃないと乗れないという愉快な観覧車なので、ラッキー!とでも思っておこう。
「…これで満足か?」
腕を組んでそう言い放ったナツキの顔色は悪いし、声も震えている。
気のせいか、ナツキ自身も震えている気がするし…もしかして高所恐怖症?
そこでやっと私は気がつく。あ、そういえば観覧車のイベント?で高所恐怖症のツンデレのエリートトレーナーの話があった気がする…コイツか!
思わず凝視していると、目線を出来るだけゴンドラの外の風景に向けないようにしているナツキを目が合った。
「…なんだ?」
「ナツキって優しいよね」
「藪から棒にどうした!?」
ナツキは動揺したのかゴンドラが揺れる。
「オオウ…」
「いやぁー、高所恐怖症は大変だね!
そんなんで"そらをとぶ"使えるの?」
まぁ、私も若干高所恐怖症なんだけど。と心で呟きつつニヤニヤと笑うと、半泣きでウルサイ!と怒られてしまった。
なんだかんだ言いながら、こうやって一緒に観覧車に乗ってくれるナツキって本当に優しい。
そっと溜息をついて、ナツキの手を握ってやる。
「フワッ!?」
「怖いんでしょ?
手、握ってあげる」
少し冷たい手をギュッと握ってあげながら、ありがとう。と念を送った。
届くはずなんて、ないんだけどね?