転生したら大鬼だった件
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
主上を見つけて、前々からため込んでいた有給的な何かを使って五連休を手に入れて――今日から休み、念願のあれやこれが出来る!
ウキウキとした足取りで魔都から出て少し歩いてから道からそれて森に入り、コソコソと変形者で姿を前世の姿に変えて、服も質素な冒険者風の服に着替える。
転成前の、日本では極々普通の黒髪が視界にちらつき、思わず掴む。今の濃紺の髪も見慣れたし、嫌いではないけれど…やっぱり黒髪は懐かしい。でも、身長は前世とほぼ変わらず…シュナ様と似たり寄ったりの身長。…もう少し身長欲しかった。
少し悲しい気持ちになりながら自分の姿を確認する。…生成りのシャツに皮の胸当を装備して、茶色のカーゴパンツを編み上げブーツに入れ込んで、腰にはラウンドシールドと短剣。準備は万端だ。
「あー、あー、あー…よし」
声の変化もしっかり確認して、コソコソと道に戻り…何事もなかったかのように魔都に戻る。
呼び止められることもなく街に潜り込めた…って、犯罪者ではないのだけれど、一安心しながらゆっくりとした足取りで歩く。今世の姿だと目立つというか、有名人?なのでオチオチ歩いてられないので、こうやってじっくり街並みや店を覗いてまわるのも新鮮で楽しい。
途中コロシアムや迷宮も鑑賞した。
主上が調子に乗って作ってしまった地下迷宮。挑戦してみたいけれど…挑戦は明日、パーティメンバーを1人応募しているグループがあれば入れてもらおう。
街を満喫しつつも、安めの宿をとるのも忘れない。
安宿とはいえ、テンペストは風呂やトイレなんかの設備が充実しているので、他の安宿とは雲泥の差である。…まぁ、そんな安宿に泊まった事などないけれど。
宿で一息ついた後、前々から行きたかった居酒屋に向かうべく宿を出る。…そして適当な路地でコッソリと別の姿に変身する。
流石に女性ひとりで入れば無駄に絡まれる事が予想されるので、今回は性別も変えて兄の姿を拝借する。…もちろん、ソウエイではなく前世の、であるが。
高くなった視野に違和感を感じつつ、頭を掻いてから大通りに戻って…居酒屋へいざ出撃。主上の意向か真っ赤な暖簾をくぐり、店に入った。
「らっしゃい!」
厳ついおじさんに出迎えられつつ、入り口入ってすぐのカウンターが空いているので腰掛ける。そっと辺りを見渡すと…オッサン、おっさん…一席空いてやっぱりオッサン。時折若そうな集団を見かけるが、多分冒険者のグループだろう。兄になってて良かった。と息を吐いた瞬間、店主?のおやっさんが、何にする?と聞いてきたので、とりあえず酒を頼むと…すぐに酒が目の前に置かれた。ついでにツマミの枝豆のような物が出てくる辺り、徹底されてる。
妙なところを感心しつつ、ちびちびと酒を呑んでいると…ガラガラと引き戸の開く音がしたのでチラリと振り返り――そして後悔した。