転生したら大鬼だった件
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世界規模の戦も終わり、魔都・テンペストも落ち着きを取り戻して久方の平穏、というよりは物語の終演にホッと胸を撫で下ろした。
里がオークによって滅ぼされてからは全てが変わり始めた。
それは、主上――リムル様、そして沢山の仲間が与えてくれた楽しくも大事な日々。
知っていた。でも知らなかった。そんな目まぐるしい毎日だった。
さぁて、昔から考えていた事を実行に移すために…連休をもぎ取らなくては。
そのためにも…主上に直談判しようと思うが、ああみえても?主上は忙しい。
まぁ、智慧之王さん――いやシエル先生だったかな?――が影で色々世話を焼いていて、主上自身は案外暇かもしれないけど。
今日はどこにいるんだろうか。地下迷宮か、それとも――?
焦っても仕方が無いのでのんびりと廊下を歩きながら考える。
「おや、クコじゃないですか。
丁度良い所で出会いましたね」
「…ディアブロ様」
あぁ、一番厄介というか面倒な人に遭遇してしまった。
ディアブロ――悪魔にして原初の黒。何を考えているのか全く分からない上に、主上に次ぐ実力者。…そして人間味に欠ける人物。
ウッカリと余計なことを漏らさないようにしなくては。そう気を引き締めながら、何か?とだけ声を紡ぐ。
「丁度これから出かけるところなんですよ。
ですので、貴女に付与していただこうかと」
ニッコリと考えを読ませぬ笑みを浮かべたディアブロに分かったと頷くと、感謝します。と言いながら手袋を外した彼の右手を、床に両膝をついて両手でそっと掴んだ。
そしていつものように目を閉じ、祈りながら握った手に口付ける。
毎度ながら私が口付けると不思議な光が相手を包み込み、空気に溶けるように消えていく。
「お気をつけてお出かけ下さい」
溶けていく光を見届けた後、掴んでいた手を離して立ち上がって軽く頭を下げると、行ってきます。と心持ち機嫌の良さそうな返事と共にディアブロは去って行った。
最近、ディアブロは何かと出かける前に私に付与をしてくれと言ってくるようになった…気がする。
もしかしたら一段落した今、私のこの能力について調べようとしているのかもしれない…?
少しの間首を傾げてみても答えなんて出そうになかったので、頭を振って主上を探しを再開した。