飽きる訳無いじゃない。
>>トラファルガー・ロー
ポーラータング号は現在深海を進行中のため、窓からの光は一切差さず、代わりに各部屋に大小様々なランプが吊るされている。
「キャプテン、起きてください!
もう朝の11時ですよ、いい加減に起きてください!!」
いつの間にかキャプテンを起こす係にされていた私は、キャプテンの私室で、ベットですやすや眠るキャプテンの体を揺すっている。どうしてこうなった?
最初はドアを叩いて。次は扉を開けて部屋の外から大声で。それでもダメで、枕元から。ついにはキャプテンの布団を剥ぎ取るまでになった。追い剥ぎも真っ青なくらいに布団の剥ぎ取りが上手くなってきたと自負するくらいには、キャプテンの布団を剥ぎ取り続けている…のは流石に語弊がある。はぎ取る前にちゃんと声をかける、それくらいの常識はまだある。
「
クコ、うるせぇ……」
このように、9割以上は声をかけて揺すったくらいでは起きてはくれないのだ。あまつさえ、握りしめた布団を顔の上にあげるという、俺は起きません。という露骨アピール!
「もう、キャプテン!
…いい加減にっ、起きてくださいっ!!」
ふんぬっ!と布団を鷲掴み、一思いに剥ぎ取ると…さっきまで掴んでいた布団を求めて、キャプテンの右手が宙をさまよっている。それでもなお起きないのが、我らがキャプテンである。剥ぎ取った布団を適当に畳んで端に寄せ、いい加減に起きたかなとキャプテンを覗き込むと…
「……捕まえた」
布団を求めてさまよっていた手が私の腕を掴み…今回もまたベットに引きづり込まれた。ご丁寧に折角端に寄せた布団まで元通り!なんでですか、キャプテン!!
「もう、ちゃんと起きてくださいよ!
毎回毎回、飽きもせずこんなこと…!」
起き上がって逃げようとしても、腰に回された腕によって阻止される。恨めしくなって、キャプテンの顔を仰ぎ見ると、バッチリ目が覚めた顔でじっと私を見ていた。
「飽きるわけねぇだろ。
こんなにおもしれぇのに」
キャプテンが、ククク。と、さも愉快そうに笑ったかと思うと…隙間がないぐらいに抱きしめられた。
2021/04/27