留守なのは知ってたけど、諦めがつかなくて外で待ってたんだ。
>>沢田 綱吉
「あれ、沢田くん…?」
京子ちゃん達と月に一度のケーキの日を楽しんで…帰ったら沢田くんが私の家の前に立っていた。
沢田くんとは小・中と同じ学校で、同じクラスにもなったこともある同級生で…最近ちょっとした出来事があって、それ以来よくお喋りするようになったのだ。
そんな沢田くんが私に一体何の用事だろう…?
「どうしたの、私に何かようがあるの?」
「うん、ちょっとね…」
鞄をかけ直し、沢田くんに声をかけると…なんともいえない表情で沢田くんは口を開いた。
…沢田くん、今日は黒いスーツ着てるし、なんだかいつもと様子が違う気がする。そう、なんとなくだけど…緊張したような、一大決心したような…そんな感じがする。
だからだろうか、今日の沢田くん…いつも以上に格好良い。
「留守なのは知ってたけど、あきらめがつかなくて外で待ってたんだ…。
イタリアに行く前に、一目だけでもいいから会いたくて。
それで、会えたら言いたいことがあったんだ。
…
クコちゃん、オレ…っ、ずっと前から君のことが――好きだ!
ゴメン、急にこんなこと言われても困るよね?
でも、次いつ帰ってこれるか分からなくて…どうしても今伝えなくちゃって思ったんだ。」
それじゃあ、飛行機の時間があるから。と爽やかに微笑んだ沢田くんは、遠くで沢田くんを呼んでいる獄寺くんの方へ、今行く!と走り去っていった。
取り残された私はただ家の前で立ちつくした。
2018/02/24(2021/04/18手直し)