真面目な話、聞いてくれる?
>>へし切り長谷部
「主、お手伝いに参りました」
部屋で書類整理に勤しんでいると障子越しに声がかかった。――この声は長谷部だ。
今日の近侍というか、書類お手伝い係は初期刀の歌仙兼定。
確かに長谷部は書類整理とかが得意で、とても重宝しているし、お手伝い係というか近侍率はトップクラスだけれども……今日は長谷部の日ではない。
たしか長谷部は今日、休日だったハズ。
「……いいよ、入って」
「はい。失礼いたします」
どうしたんだろうと思いつつも、入室の許可をすると静かに襖が開き、ジャージ姿の長谷部が入ってくる。
どうでもいいけど我が本丸では、基本内番服で過ごさせている。だって鎧邪魔じゃん?本丸=自宅なんだから過ごしやすい格好で過ごしたいでしょ?私は過ごしたい、のでそうした。それだけである。
そんな感じで、私もラフな格好で過ごしているが…正直、本丸から出かけないのだからパジャマで過ごしたいんだけど、それを許してくれない刀が数振いるので断念した。
それはともかく、どうしたの?と座布団に座ったまま近付いてきた長谷部を見上げると、いつもより一割か二割ほど険しい表情だった。まぁ、常に険しい表情だから気のせいかもしれないけど。
「主、真面目な話があります。聞いていただけますか?」
……真面目な話?はて、何をやらかしたんだろうか、私。と、思わず首を傾げた。
「えっと、良く分かんないけど分かった。…それで、真面目な話ってなに?」
「有り難うございます、主。
…主には俺の伴侶になっていただきたく」
「わぉ。」
予想外の展開で驚いちゃったよ審神者、予想外。拒否したら、ちまたで噂の神隠しルートっすか?キャー。なんて脳内で茶番を為ている間にも、長谷部が近い。
「…お答えを、主」
そんなことより!近いです!!
長谷部の整った顔と、透き通った瞳に吸い込まれそうでとても怖い。
2018/05/29