そうでもしないと気付いてくれなかっただろうからね。
>>セブルス・スネイプ
セブルス・スネイプは、リリー・エバンスを愛しており、リリーが死んだ後にリリーの息子とはいえ、憎きジェームズ・ポッターの息子でもあるハリーの事をを命を賭して守った。という話は皆さんご存知のことだろう。
―――だから、私は、期待しない。
❁ ❁ ❁
私は残念ながら前世の記憶があり、ハリー・ポッターを知っている。
とはいえ、私が生まれたのはその物語直撃世代ではなく、奇しくも?親のジェームズやリリー達と同じ世代…しかも同級生に生まれたので、生かせる知識なんて殆どない。せいぜい知っているのは、ハリーの両親が名前を言ってはいけないあの人に殺される、というくらいだし、それすらも生かせそうにない。そもそも、私はグリフィンドールではなくスリザリンだし。
なんて考えていると、グイッと腕を掴まれた。
「
クコ、何をしている。早く来い」
どうやら考え事をしているうちに足が止まっていたようで、業を煮やしたセブルスに、強制的に腕を組まされ歩かされた。突然の出来事に驚き、目を白黒させながらセブルスの顔を見上げると、ギュッと眉間に皺を寄せたセブルスが口を開いた。
「…こうでもしないと気付いてくれなかっただろうからな。」
そう言うと同時に顔を背けたセブルスの耳が赤く見えた。
……もしかして私、期待しても、いいの?
2021/10/06