Short Story
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ、スクアーロ!」
兄に言いつけられた用事をすますためヴァリアーの屋敷に入った瞬間…スクアーロを発見したので、ダッシュして飛びついた。
ふわぁー。相変わらず私の癖っ毛の金髪とは正反対のサラサラ銀髪で羨ましい!
「う゛お゛ぉい!
何しやがる!!」
少しビックリした様子のスクアーロは、飛びついた私の身体を離そうとしてきたが…そう簡単に離れるような私ではない。
ギュウギュウとくっついていると、はぁ。という大きな溜め息と共に抵抗は止んだ。
「ねぇねぇ、スクアーロ今暇?」
「忙しい」
私を背中にくっつけたまま引きずるように歩き始めたスクアーロに声をかけても、切り捨てられた。でも、それもいつものことなので気にしない。
「一緒にカフェ行こうよー!」
「断る。
…大体何でこんなところにいやがった?」
ずるずる引きずるのを止めないままスクアーロは私に聞いてきた。…そういえば兄に用事を頼まれてたんだった。あぶないあぶない…ザンザスにこのUSBを渡さなくては。
「ねぇ、スクアーロ。
ちょっとザンザスの所まで運んでー」
「何で俺がぁ!!?」
チッ。と舌打ちしたスクアーロだけど、方向転換してザンザスの書斎へ向かってくれた。…もちろん、私を引きずりながら。
やっぱり、なんだかんだ言ってもスクアーロは優しい。本人に言っても全力で否定されるけれど…。
「ありがと、スクアーロ!」
書斎に連れてきてくれたお礼に頬にキスを贈ると、顔を赤くさせ何事かをモゴモゴ言いながら走り去っていった…彼が好きです。…きっと思いを伝えることはないけれど。
――なんて思ってましたが、実は私がスクアーロの事が好きだってことは兄経由で本人に伝わってしまったようです。…あのクソ兄貴め、タンスの角に小指ぶつけて身悶えれば良いのに。
「あ、スクアーロ!」
声をかけても、此方を一瞬見た後に凄いスピードで走り去るのです。…しかも早すぎて追いかけるのを忘れるくらいの速度で。
兄に問い詰めても、軽く謝られるだけでなにも変わらないし…八方塞がりである。辛い。
「…もう止めよう」
走り去ったスクアーロを見送ったその場で俯きながら独りごちる。
もう色々面倒なマフィアから足を洗って、兄の弟弟子もいる日本に渡日しよう。そうしよう。そう呟いて、下を向いたまま足を引きずるように玄関へと向かっていると、ガシリ。と肩を掴まれた。
驚いて振り返ると、さっき走って逃げたはずのスクアーロが眉間にシワを寄せて私を見つめていた。
「…何を止めるんだぁ!!?」
イライラしたような声が私の耳に響く。…てか、私の呟きをどこで聞いていたんだろうか?
「…マフィアやめて渡日して隠居する」
「却下だぁ!」
せっかく理由を言ったのに、スクアーロに却下される。思わず、なんで!と声を荒らげると…突然私を抱きしめた。…思ったより力強くて、ちょっと苦しい。
涙目になりながら、スクアーロの腕を叩くと少し力が緩んだけど…顔が近くて、私の顔が赤くなる。
「ジャッポーネに行くなぁ、俺の隣にいろ」
あの、それは告白だと前向きにとらえて良いですか?なんて言えず、自分からスクアーロに抱きつくことで返事した。