Short Story
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――未来の記憶を手に入れてしまった。
その記憶とは、ヒバリと仲睦まじく暮らしている…そんな有り得ないような記憶だった。
REBORN!の世界に転生してから今まで、なんの変哲のない並中生としてひっそり生活していたのに…これはあまりにも酷い仕打ちだ。
一体未来の私は何を考えているんだ…折角今までヒバリと話さずに生活していたというのに。
しかし、必ずしも私の所にヒバリがやって来るとは限らない。
もしかしたら、来ないかもしれない…。
――うじうじ考えたって、らちがあかない。
いっそ、私が未来の記憶を受け取ってないという事にしてしまおう。そうしよう。
▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
そう思って学校に向かったワケですが…到着早々ヒバリに捕まり、拉致られました。
着いた先は、応接室。今まで1度も足を踏み入れたことがない空間で、無意識に緊張してしまう。
まぁ、その緊張よりもヒバリと対面している方が緊張が大きいのだけども。
無言のまま見つめ合うこと数秒、ようやくヒバリが口を開いた。
「雨草 クコ。
今日から付き合ってもらうよ」
そうとだけ告げたヒバリは、帰っていいよ。と立ち上がり…窓の方へ歩いて私に背を向けた。
全く意味が分からないが、これと同じやり取りを行ったという未来の記憶がある。
その時の、付き合って。発言はマジだったので…今回もマジなのだろう。
どこへ付いて行けばいいの?的なヤツじゃない方で…。
いつまでもボンヤリと部屋にいるわけにも行かないので、コチラを見てはいないヒバリに念の為にペコリと頭を下げてから部屋を出た。
すでに始まりのチャイムは鳴っているので、完全に遅刻だ。
まぁ、先生にヒバリに捕まっていて遅れたと告げれば、遅刻を許してくれるだろう。…そう考え、詰めていた息を吐いた。
▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼
放課後、部活に入っていない私はそそくさと教室をでて、下駄箱に向かった。
家に帰ったら何をしようかと考えながら廊下を歩いていると…肩を誰かに掴まれた。
誰だろう?と振り向くと…ヒバリが立っていた。
どうやら、肩を掴んだのはヒバリだったみたいだ。
「今から帰るの?」
「えっ、そうですけど…?」
「…送ってく」
私の一言に少し考えてから口を開いた様子のヒバリは、ナチュラルに私の手を引いて歩きだした。
突然の出来事にオロオロしても、手を引かれてるので強制的に付いて歩くしかない。
何故か私はヒバリの手を振りほどく事が出来ず、家まで送ってもらってしまった。
…なぜ私の家を知っていたのかという疑問が残ったが。
「あの、ありがとう…。ヒバリさん」
「恭弥」
送ってもらったお礼を告げると、何故かヒバリは自らの名前を名乗った。
…これは私に名前を呼べということだろうか?
そういえば、未来の私は"恭弥"と呼び捨てにしていた。
「えっと、恭弥って呼んでいいの?」
これが私の勘違いだったら、きっと殺されてしまうので…恐る恐る発言すると、ヒバリは嬉しそうな様子で頷いた。
というか、ヒバリの機嫌が見ただけで分かってしまった事に驚いたが。
「じゃあ…今度から恭弥って呼ばせてもらうね」
「あぁ…。また明日ね、クコ」
嬉しそうなヒバリは颯爽と学ランを翻し去っていったが…大きな問題が残された。
"また明日"…。つまり、明日会おうね。という事なのだろう。
今日は眠れないかもしれない…。