幼馴染
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想像通りというか、やっぱり案の定、私の渾身の一撃ごときが通じるわけもなく、トランクスの強靱な腹筋に受け止められてしまった挙げ句、仕方ないな。という腹の立つ表情で私の手を掴み――あっという間にトランクスん家に連れてこられた。
これは立派な拉致であり、犯罪だと私は主張したい。
「ただいまー!」
「あら、お帰り。
トランクス…と、クコちゃんじゃない!!
久しぶりねー!元気にしてた?」
キャー!と相変わらず若々しいブルマさんが私に気がついて駆け寄ってくる。
それと同時にトランクスが掴んでいた手を離してくれたので、なんとなく掴まれていた所を摩りながら愛想笑いを浮かべる。
「あっ、はい。
ご無沙汰です、ブルマさん。
ブルマさんはお変わりないようで」
「うんうん。
どこかの誰かさんと違って、クコちゃんは分かってるわね!
…それで、家に連れてこられたってことは…トランクスに告白されたってことかしら?
もちろん、いつでも結婚してくれて良いのよ?」
「母さん、気が早いよ」
「あら、こういうことはさっさと済ませた方が良いのよ?
クコちゃん、トランクスのことよろしく頼んだわよ。
あ、紅茶とケーキ3つ、お願いねー」
ちょっと急展開な話の流れについて行けず、愛想笑いのまま突っ立っていると、通りかかったメイドロボに紅茶とケーキをブルマさんがしれっと頼んで、さぁ、座って!と私の背中を思ったより強い力で押して椅子に座らせると、それに合わせるようにブルマさんもトランクスも椅子に座る。
丁度そのタイミングでメイドロボが紅茶とケーキを持ってきて、目の前のテーブルに置いた。
…やばい。逃げるタイミングを完璧に逃した。
どうやって逃げようかと考えながらトランクスを見ると嬉しそうに私を見ていて、ブルマさんを見てみるとニヤニヤと笑いながら私を見ている。
ブルマさんはともかく、逃げるにはトランクスが気を逸らし、尚且つその瞬間に全力で外まで走り、全力の舞空術で少し遠くまで逃げ、気配を消さねばならない。
…ちょっとムリかもしれない。けど、やるしかない。
ふぅ。とコッソリ息を吐き、紅茶を口に含む。
良い茶葉を使っているからか、とても美味しい。
「で、クコちゃん…」
「…はい?」
「トランクスは何て言ったの?」
「え?」
「――やだ、告白よ。告白!
なんてプロポーズしたのか教えて欲しいのよ。
あとそれから…ちゅーはした?」
「ぶっ、ちょ…母さん!!?」
ニヤニヤ笑っていた表情から一変、真面目な顔をしたかと思うと…ブルマさんはまさかの発言をカマしてきた。
私は丁度紅茶を飲み込んでいたから大丈夫だったが、トランクスは丁度飲んでいた最中だったらしく、こぼしていた。
しかも、顔を真っ赤にして今にもブルマさんに掴みかからんとしている…!
――チャンス!
私は座っていた椅子から蹴飛ばす勢いで立ち上がり、全速力で近くのドアを潜り抜ける。
…この先は中庭で、そこから飛び立てる!
わずかな希望を信じ、それにすがるように躍り出た中庭の芝生を力強く踏みつけ、飛び立て――なかった。
なぜなら、わずかに浮けた私の肩をガッチリと、何故か超サイヤ人とやらになったトランクスが掴んでいるからである。
「クコちゃん?」
「あ、あはー?」
小首を傾げて笑って誤魔化そうとすると、トランクスは溜め息を付きながら軽く頭を振って変身?を解いた。
「逃げるな、馬鹿」
「だって…ねぇ?」
最後のあがきとばかりに視線を逸らすと、逸らすなとばかりに私の顔をガッチリつかみ、無理矢理視線を合わされる。
…じわじわ羞恥で自分の頬が赤くなっていくのが分かる。
「俺の彼女になってくれる、よね?」
もう、否定も誤魔化しもできそうになかった。