Short Story
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私が政府で働くようになったのは、お国の為でも、歴史修正主義者関係者でもなく、霊力とやらが豊富だったり澄んでいたわけでもなく、予言を受けたという希有な理由でもなく…ただ、失業したからである。ここ仕事がブラックって有名だけど、お給料が良いんだもん。
そんなわけで始まった新生活だが、予想通りにブラックofブラックだった。人手が足りないからって、なにも身寄りのない(?)ヒマな刀剣男士をも使ってるとは…!まぁ、刀剣男士――付喪神の分霊?だとは、ここに入ってから知った事で、ソレを聞いたときに当たり前のように一般人には話せなくなるという呪いをかけられて…ビビりを通り越して虚無ったよ、うん。マジで。勝手に呪われるとか、聞いてた以上にブラック。
そして、極めつけは偽名。名前バレすると神隠しとかトンデモナイ事件が起きたりするらしい。源氏名みたいなもんかな?知らんけど。
さて、気を取り直しまくって。私のお仕事は…破棄される予定だった刀剣を引き取り、顕現させた男士への一般教養的なものを教える仕事である。とはいえ、私が生まれる遙か昔から日本刀の彼ら?は人と共に歩み、営みを見つめてきたのであろう、ある程度は言わずとも分かっているようだけども。だけども!人の感情の機微というか、情緒が分かっていただけない!!あと、皆大概カタカナに弱いんだって、先輩談。
事前に先輩から色々と聞き、一度も見たこともない刀剣男士を夢想してイメトレを行い――ついに、私の初めての刀剣男士とのご対面と相成った!
「――失礼する」
小会議室のドアがノックされ、慌てて返事すると…明朗で良く通った声がドア越しに聞こえたかと思うと、鮮烈な赤が飛び込んできた。
「俺は大包平。お前が…クコだな」
「はい。本日より大包平様付きになります、クコと申します。
よろしくお願いします!」
入ってきた美丈夫に驚いて一拍遅れたものの、慌てて立ち上がり頭をしっかり下げる。
身長の低い私より当然上の方にある真っ赤な髪が鮮烈だったけれど、自信しか感じない真っ直ぐな眼差し、均等のとれたマッチョではないが筋肉質な身体、スラリとしたおみ足…一瞬だったけど、網膜に焼き付いて離れない。
刀剣男士とはかくも美しいものなのか。まぁ、付喪神って結局は神だからそりゃあ美しいのかもしれないけども…魅入られてしまった。というか、私の好みにジャストフィットである。やばみ。
「よろしく頼む」
その不遜な笑みに、私はモノクロだった世界が色鮮やかに塗り替えられたような、そんな気がした。
* * * * * *
"小説お題ジェネレーター"よりお題拝借
No.133色鮮やか
No.3105日本刀
No.3476失業者