Short Story
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「うむ!なるほど全然わからん!!」
「だと思った!!」
ここに住まわせてもらって、はや数日。杏寿郎さんと話していると、ついつい声を張ってしまう。……それでなくても、私の声は良く通るのに、これじゃ騒音問題待ったナシだよ…。
「クコさん、今回は何があったんですか?」
清々しいまでの笑顔で全否定した杏寿郎さんに呆れた顔を向けていると、ひょっこりと千寿郎くんが、クスクス笑いながら顔を覗かせた。
二人で話していると遠くまで私たちの声が聞こえるようで、良く様子を見に来てくれるのだ。…恥ずかしい。
「あぁ、ごめんね。煩かった?
…実はね、杏寿郎さんが胡蝶さんか甘露寺さんに唆されたのか、ついこの間発売されたばかりの"七色粉白粉"という白粉を買ってきてくださったのだけれど。
…なにも全部の色を買わなくても。高かったでしょうに…」
「どれがいいか分からなかったからな!
――全部買ってきた!!」
「くっ、潔い…!」
ぐっと杏寿郎さんの潔さを噛み締めていると、成程。と一つ頷いた千寿郎くんだったが、突如爆弾を落とした。
「兄上、次は指環でしょうか?
櫛も良いですが、最近の流行は指環だと聞きました」
「そのつもりだ!」
なにか通じるものがあったらしく、にっこりと眩しい笑みで頷き合う兄弟に、なんとなく寒気を感じた。おかしい、こんなにも眩しく暖かいのに…?
「次の休みは一緒に買いに行くぞ、クコ!」
ひとしきり二人で頷きあったかと思うと、杏寿郎さんは蕩けるような笑みを浮かべて言い放った。
◎大正コソコソ裏話◎
"七色粉白粉"は、実際に大正6年に資生堂から発売された白粉(ファンデーション)。当時、白色以外の色(にくき(肉黄)、みどり、ぼたん、き、むらさき、あか)が発売され、大評判になったそうだぞ!