世の中って、世知辛い。
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私が草むらというか山?で拾った手負いの輩について、おじさんとおばさんに説明して部屋に戻ると…どうやら彼は寝ているようだったので、水の入った桶から手ぬぐいを出して絞って枕元まで近づいて汚れた顔を拭ってやろうと手を伸ばした時、パチッと目が開いた。
正直、ビックリして心臓が止まるかと思った。
「誰だ」
いや、ほんの数分前に会ったでしょ?と思いながらも名前を名乗って、怪我が良くなるまで、ゆっくりしていってください。と笑みを浮かべながら、許可も得ずに顔を手ぬぐいで拭ってやった。
非常に嫌そうな顔をしたものの動くことが出来ないようで…されるがままの彼に思わず笑みを深くしながら、動けないのは好都合。と遠慮なく汚れている腕などを拭いてから懐から新たに手ぬぐいを出して、消毒用に持って来ていた酒をビッタビタに浸して傷口を拭う。
無言なのに、コロス。と言っている目に気がつかないフリをしつつ、丁寧に拭って包帯代わりに裂いた手ぬぐいをグルッグルに巻きつけた。
思ったより時間と体力を消耗したけど頑張った!と、謎の達成感を感じながら汗を拭うと…私の着物が引っ張られた。
どうやら腕は動かせるらしい。
「おい、女」
「なんでしょう?」
さっき名乗っただろうが!とイラッとしながら返事をすると、書く物を寄こせ。と横暴な態度で命令してきた。
白紙とか高級な物がこの家にあるわけがなく…一番安く紙として使うにはギリギリラインな物と筆と硯を用意して持って行く。
「遅い」
部屋に入った瞬間、鋭く言い放った彼にイラッとしたものの、大人な対応で謝って机に置いてから起きようと頑張っているのを手伝って起こす。
彼が筆を取ったのを見届けてから退出する。
どうせ敬愛する上司にでも現状を報告するんだろう。
とりあえず、時間を空けてからお茶でも持って様子を見に戻ろう。
…そういえば体を拭くとき動けなさそうにしてたのに、手紙は書けるんだ?