世の中って、世知辛い。
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大阪では、秀吉に会うことはなく…同じ女中であるはずの女中さんにお世話になりながら過ごしている。
毎回その女中さん達が、三成様の大事な方ですもの。なんて口を揃えて言っていたが…大事にされた記憶なんてないんだけど。
肩身が狭い。と思いながら部屋から抜け出して庭を眺める。
植木の善し悪しは分からないけど、隅々まで手入れが行き届いていて…とても良い庭だと私でも分かった。
折角だからお茶でも飲みながら見ようかな?と、台所の場所を思い出していると…段々と近づいてくる足音が聞こえた。…誰だろう?と思いながら音のする方を見ていると、家康が角を曲がって出現した。
ちょっとまって、家康が大阪にいるなんて聞いてませんよ?
「…おぉ?」
一瞬驚いた表情をした家康は、ニッコリと笑顔を浮かべて此方に歩み寄ってきた。
「お前は三成の…」
「家康、こんな所で何をしている」
家康が私の目の前でニコニコと話しかけている最中に、突如現れた三成が家康に詰め寄り睨みつけている。…まだ秀吉様がご存命なのに、仲が悪いのか。
「丁度良い所に現れたな、三成。
この娘が三成の良い人だろ?」
「…はぁ?」
ニコニコと相貌を崩さずに告げた家康に、眉間に皺を寄せた三成はたっぷり間を空けてから答えた。…はぁ?しか言っていないけど…言外に、何を言っている。というのが滲み出ているし、私もそう思った。
「ん?…なんだ、違うのか。
半兵衛様がそうおっしゃってたから、そうかと思ったが…」
ワシの勘違いだったか!と笑う家康に、一体何を言ったんだ半兵衛。と、つい先日会った半兵衛の顔を思い浮かべてみると…半兵衛は意地の悪い顔で薄く笑った。
三成も半兵衛の事を思い浮かべていたのか、一体何をおっしゃったんだ…?と首を傾げていた。
「っと、それより自己紹介がまだだったな。
ワシは徳川家康、よろしくな」
「…ご丁寧に有り難うございます。
私はクコです、どうぞよしなに」
ニカッ。と笑って名乗った家康に、慌てて頭を下げながら名乗る。…私の隣にいつの間にか立っている三成が不機嫌そうに鼻を鳴らしていたが、一体何が不満だったのか。