世の中って、世知辛い。
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「お前も来い」
という三成の簡素な命令で、何故か大阪に連れてこられたとか…意味が分からない。
そして何故、半兵衛の私室で二人っきり向かい合って座っているのかも、分からない。
「クコくん、どうやら元気そうでなによりだよ」
「あっ、ハイ…有り難うございます。
それで、私に話って何でしょうか…?」
いい加減に足が痺れそうになった頃、ニコニコと読めない表情の半兵衛がやっと口を開いたので、便乗して用件を聞いてみる。
正直、半兵衛と二人っきりとか居たたまれない。
「あぁ、たいしたことは無いんだけどね。
…最近三成くんとはどうなんだい?」
しれっとした表情で半兵衛が、突然そんな質問を投げかけてきたので…一瞬たじろいでしまったではないか。
困惑して、どうとは?とウッカリ聞き返してしまったが、全然気にしていない様子だったので…こっそりと息をはいた。
「そうだね…いつも三成くんとは何の話をしてるんだい?」
「話、ですか――」
急に話と言われても…つい最近、三成との話題って何だっけ?そういえば…。
「――そういえばつい先日、三成様と何故か城下町に視察に行くことになりまして。
街中で、どこか挙動不審な様子の三成様が私をつれて呉服屋に入ったかと思うと…私にコレをくれたんです」
今現在着ている着物の袖を広げて半兵衛に見せる。
この三成から貰った着物は、生成りに藤色の藤の花が裾をメインに描かれていて…派手すぎず地味すぎないという、まさに私好みでお気に入りなのである。
「へぇ、あの三成くんが君に…」
驚いた表情の半兵衛の呟きに、どの三成くん?と思わず首を傾げた。
まぁ、三成は一人で十分ですけども。
「…うん、クコくんに良く似合っているよ。
さすが三成くんだね」
うんうん、と半兵衛が頷いた瞬間…スススッ。と流れるように襖が開き、頭を垂れた三成が…半兵衛様、秀吉様がお呼びです。と口を開いた。
「ありがとう、三成くん。
では僕はここで失礼するよ、クコくん」
フフフ。と笑みを浮かべながら半兵衛は三成の隣を通って部屋から出て行った。
…秀吉の所へ向かったのだろう。
半兵衛の足音が完全に聞こえなくなった頃、三成は頭を上げた。
「クコ、半兵衛様と何を話していた?」
「…三成様に着物を頂いたという話をしましたが」
本当に三成って半兵衛好きだよなー。と思いながら言うと、いつもより顔色の良さそうな三成が、行くぞ。と立ち上がり部屋を出て行った。
急にどうしたんだろう?と思いながら、も慌てて後を追う。
…だってここ、半兵衛の部屋だし。