このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

さよならの向こう側

ある日たまたま駅前で見かけた、レイの浮気


相手の女性は流行りのオシャレを身に纏う私とは正反対の人だった


メイクもナチュラルで、眉毛もナチュラル


スカルのゴツいの指輪も、大量のピアスも大きな飾りの付いたネックレスもつけてない


まさに、太陽の下が似合う人


私は黒とピンクの派手なワンピースに、スカルのゴツい指輪、大量のピアス、大きな飾りの付いたネックレス


太陽の下だなんて、全く似合わない


狂姫「レイは…私なんて好きじゃないのかな…」


狂姫「ほんとはきっと、あんな人が好きなんだ」


涙を堪えれずにその場でしゃがみ込んだ


どうして?


私がこんな見た目だから?


人とは違うから?


他人『クスクスw』


他人『うわっ!泣いてる!かわいそw』


他人『チッ、邪魔だな』


道の真ん中でうずくまり、涙を溢す私は周りには滑稽の見えるようで笑われた


普通なら道の端に移動したり涙を堪えて家に帰るのかもしれない


しかしそんな事をする余裕もないくらいレイの浮気はショックだった


涙はずっと溢れてくる


そうだ、楽しかった事を思い出せば…


楽しかった事を思い出そうとしても、レイの顔が思い浮かんできてまた涙が溢れる


レイの浮気現場に遭遇するくらいならずっと家に籠もってればよかった


そしたら、こんなに傷付かなかった


何分も何時間もずっと泣きながらその場から動けなかった


明るかった空は太陽が沈み面影はない


店の電気や街灯が付いて人工光で照らされる8時頃


???『大丈夫ですか?』


突然後ろから声をかけられた


振り向くと
 

綺麗な筋を作って盛った金髪の髪


くるりと外ハネの長い襟足


黒い目元に大きなツケマ


クロムのネックレスや指輪をジャラジャラとつけている


先のとんがった革靴


明らかにホストのお兄さんが心配そうな顔で立っていた


ホストのお兄さん『よかったら、俺の店に来ませんか?きっと笑顔にさせてみせます!』


ホストのお兄さんはにっこりと笑った


なんだ、ホストのキャッチだ


『最近のホストは弱ってる子を狙うんだよ!絶対引っかかっちゃダメ!』と言う友達の注意を思い出した


ホストのお兄さん『どう?来ない?』


もうこの際ホストにハマってもいい、付いていこう


そう思ったとき財布にお金が入ってない事を思い出した


お金が払えなかったら殴られたりするのかな


それは、嫌だ


狂姫「ごめんなさい、私お金持ってないんです」


ホストのお兄さん『そっか…じゃああそこのカフェでお茶でもしない?もちろん俺の奢りで!』


ホストのお兄さんは笑顔で近くにあったお洒落なカフェを指差した


そこはぼったくりで有名なカフェだった


知らないのかな…


狂姫『あそこ、高いですよ、というかここら辺のカフェ全部ぼったくり価格です』


ホストのお兄さん『え!?そうなの?じゃ、じゃあ公園にでも座ろ!』


お兄さんは強引に私の手を繋いで近くの公園に連れて行った


人が居ない割には綺麗な公園


お兄さんは公園のベンチに私を座らせると隣にくっついて座ってきた


近すぎて香水の香りがキツく感じる


手も離してくれない


お兄さん『そういえば、おねーさん名前は?何才?』


狂姫「狂姫(キョウキ)、26才…」


お兄さん『へー若いね!俺は零夜(レイヤ)、32!』


お兄さん『おっさんじゃないからね!w』


狂姫「そりゃそうでしょ、32なんてお兄さんじゃん」


零夜『え…ホント?』


零夜はキョトンとした顔で見つめてきた


狂姫「うん」


零夜『あ、ありがとう…!俺周りにおっさんおっさん言われるから傷付いてて…』


零夜『店でも最年長だしさ…店長より上だし…客も付かないし…裏で馬鹿にされてるし…』


零夜『だからさ、俺の事慰めて!』


零夜はよく町で見かけるバカップルの女みたいに私の腕に纏わり付いてきた


狂姫「アンタが私を慰めるんじゃなかったのかよ…」


零夜『嫌?』


今度は、目をウルウルとさせて上目遣いで見上げてきた


女々しい


狂姫「わかったよ、ただし2万ね」


2万はもちろん冗談だ


零夜『いいよ、はい』


零夜は財布から一万円札を2枚取り出して渡してきた


まさか、カフェが高いと知ると公園に連れてくるような男が本当に払うとは思わなくて驚いた


狂姫「いやいや冗談だから!2万払わなくても慰めてあげるし!」


零夜『魔琉華ちゃん、優しいね』


そう言うと零夜は私の服に手を突っ込み胸を触った


狂姫「ギャッ!なにすんのよバカッ!!」


思いっ切り零夜の頭を叩いた


零夜『痛っ!!慰めてくれるんじゃなかったの?』


狂姫「そっ、そーゆー事はしないからっ!それに私彼氏い…」


レイの顔が浮かんできた


また涙が溢れそうになる



狂姫「レイ…」


気付いたときには、もう涙が頬を伝っていた


涙を溢す私の頭を零夜は撫でてくれた


零夜『大丈夫だよ、よしよし、ゆっくり話してごらん』


優しさが心に染みて余計に涙が出た


狂姫「零夜ぁ…」


零夜『ん~~?よしよし』


狂姫「レイがね、私に言ってくれたの、愛してる結婚しようって、なのに全然結婚してくれないし最近メールの返事も遅いしなかなか会ってくれないし…」


狂姫「それでもバンド活動が忙しいからだって我慢してたの、そしたら今日他の女の人と一緒に歩いてるの見ちゃって…」


零夜はしっかりと話を聞いてくれている


狂姫「レイが愛してくれないなんてもう私、生きていけない!私の事愛してるって言ったのレイしかいないもん!誰にも愛されない私なんて、生きてる価値ない」


零夜「狂姫!」


突然、零夜が私を骨が軋むくらい強く抱き締めた


零夜『本当に、狂姫の事愛してるって言ったのはレイだけか?違うだろ?思い出してよ…』


狂姫「零…夜…?」


少し涙目になった零夜


突然抱き締められた事に困惑していると零夜はそっと私を離した


そして、少しだけ6年前のあの日々の事を思い出した


零夜『あっ、いや、急にごめん…』


狂姫「ううん…たしかに私の事愛してるって言ったのレイだけじゃなかったかも…」


零夜は、微笑む顔で私を見つめた


綺麗な金色の髪が風に靡いて綺麗だった


零夜『あ、狂姫ちゃん寒くない?大丈夫?』


季節は11月時間は9時


言われてみたら寒い気がする


狂姫「ちょっと寒い、かも」


零夜『ほら、これ着てなよ』


豹柄のファーのアウターを着せてくれた


狂姫「ありがとう、零夜」


香水の匂いが染み付いてるのかさらに匂いがキツく感じた


零夜『ん、』


零夜は満更でもないような顔をしている


零夜『これから、どうする?俺ん家来る?』


狂姫「行かない!w」


零夜『だよなwじゃ俺の店おいでよ』


狂姫「でも私…お金ない」


零夜『大丈夫!初回は5千だから』


狂姫「そんなにもってないよ」


零夜『ほら、5千、これで払いなよ』


狂姫「いいの?」


零夜『当たり前ダロw』


私は零夜に手を繋がれて歌舞伎町のホストクラブに行った


黒服1『いらっしゃいま…』


黒服2『いらっしゃ…』


私と手を繋ぐ零夜を見て黒服が驚いたようだ


どうやら、零夜が客を連れてきたのは初めてらしい


黒服『えっと、4番テーブルにどうぞ…』


黒服は何度も私と零夜を交互に見た


ホスト達もヒソヒソと話している


ホスト1『な、なぁ零夜が…』


ホスト2『ありえねーよな…』


店中の視線を集めて少し恥ずかしい


零夜はニヤリと嬉しそうな顔をしている


席につくと零夜はくっついて座ってきた


狂姫「零夜、近いよ」


零夜『ごめんごめんw気にしないでよw』


狂姫「気にするから!」


零夜『え~~いいじゃん』


また零夜が町で見かけるバカップルの女みたいに腕に纏わり付く


零夜『ちょっとだけ、店の中だけでいいから俺の事大好きって設定でやってくんない?』


コソッと耳打ちをされた


狂姫「ふふっ、しょうがないな~w」


零夜『おねがいしまーす!』


零夜が黒服を呼ぶと教えてもないのに私が好きなお酒を何種類も頼んでくれた


そしてお酒は、すぐに運ばれてきた


零夜「これ好きでしょ?ほら、乾杯!」


軽くグラスを打つけるとカランと氷の音がした

__数時間後、零夜は明らかに酔っていた


上機嫌で大声でDirの予感を歌い黒服に怒られている


会計を済ませ店を出ると時間は0時をまわっていた


零夜『今日はありがとね~~』


なんてふらつきながら言う零夜が心配になった


狂姫「そんなに酔っててほんとに大丈夫?」


零夜『全然大丈夫~~』


零夜『そんな事より俺の家来てよ~~』


狂姫「えっ?それはダーメ!」


最初は拒否したが子供のように駄々をこねる零夜に根負けしてしまい結局行くことになった


零夜『手、繋いでいいよね?』


狂姫「うん、いいよ」


レイも浮気したんだ


だからこれは浮気じゃない


そう自分に言い聞かせて零夜と手を繋いだ
1/1ページ
    スキ