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擦れ違い

緩菜『舞と俺ってお似合いじゃない?』

アゲハ&春『「…………』」

春『緩菜最低!!!』

春の声が店中に響いた

緩菜『ちょ、ちょっと春…』

春『アゲハちゃん大丈夫?』

アゲハ「あ、うん…全然…大丈夫…」

大丈夫だなんて嘘に決まってる

悲しさと悔しさと怒りといろいろな感情が混ざり合った

涙で視界が歪む

溢れそうな涙を拭いて落ち着こうと煙草に火を付けた

倉木『ご、ごめんなさい…私なんかが』

緩菜『いや、舞は悪くないよ』

二人の会話を聞こえないフリして

お揃いのリングをぼーっと眺めていた

春『アゲハちゃん、ちょっと外行こう』

アゲハ「うん…」

春の手を握り外に出た

夜風が、少し寒い

春『緩菜もきっと本気で言ったんじゃないよ』

アゲハ「緩菜は…あたしより…あんな子が好きなのかな…」

春『アゲハちゃん……』

アゲハ「あたし緩菜がいなかったら生きていけないよ…」

春『大丈夫!緩菜がいなくても俺がいるから』

突然、春があたしを抱き締める

春の暖かさに包まれる

アゲハ「春…」

春『だから…大丈夫だよ…』

アゲハ「ありがとう…涙」


メイ『あっ、ここにいた!』

メイメイの声

春『メイメイどうしたの?』

メイ『緩菜が探してたよ』

緩菜が…

春『アゲハちゃん、どうする?』

倉木もいるのなら戻りたくない

でも、今戻らなかったら二人はきっといちゃついたままだ

アゲハ「戻ろ…っか!」

春の顔を見て全力でにっこり

春もいるし、大丈夫だ

あたしの緩菜は渡さない

やられたらやり返す

それが道理だと


春の手をしっかり繋いで店内に戻った

店に入ってすぐの所の緩菜がいた

緩菜『アゲハっ!!』

バシッ

アゲハ「いっったぃ!!!」

突然の事で状況が飲み込めない

ただわかるのは前頭部の痛み

春『大丈夫!?』

緩菜『急にいなくなったりすんなよ!』

春『緩菜叩くとかサイテー!叩くのはドラムだけにしろよ!』

メイ『グフッww』

メイメイが笑う

緩菜『ほらはやく戻るよ』

緩菜の後ろを春と横並びになってついていった

倉木『心配したよ!』

椅子に戻った倉木が吠える

もちろん、無視

春『ごめんごめんw』

春は笑う

緩菜がそわそわ…してる

これはきっと煙草が欲しい顔!

アゲハ「緩菜たば…」

倉木『はいどうぞ!』

あたしの声を倉木は遮って煙草を渡した

緩菜『ありがとう』

笑顔の緩菜に胸が痛む

なんとなく、渡しそびれた煙草をしまえない

春『1本ちょーだいっ!』

隣からひょいっと春が1本取る

隣を見れば春の眩しい笑顔が見えた

アゲハ「春…」

春『あっ、ごめん、嫌だったなら…』

アゲハ「ううん、いいよ!」

春『ありがとっ!』

緩菜『…………………』

なんともいえない表情の緩菜

よく見れば暗い顔をしているようにも見える

倉木『緩菜、眠いの?』

緩菜『……………』

倉木『ちょっと話があるんだけどいい?』

緩菜『うん…』

ダメ、倉木の顔、これは絶対告白する顔

緩菜が盗られちゃうの?

そんなの、絶対嫌!

アゲハ「まって!!」

緩菜の腕を掴む

緩菜『な、なに?』

アゲハ「行かないで!」

倉木『なっ、なによアゲハ!』

アゲハ「緩菜はあたしのものだから!あんたなんかに渡さない!!」

倉木『は、はァ?私の方が緩菜とお似合いなの!私はアゲハみたいに化粧濃くないしそんなビッチみたいな胸見えてる服着ないし!』

倉木『アゲハは緩菜と不釣り合い!アゲハなんか売春婦でもした方がいいんじゃな…』

バッチーン!!!

春『謝って!アゲハちゃんに謝って!!』

倉木『…い‥痛い!なんてことすんのよ!』

春『アゲハちゃんの事これ以上馬鹿にしたら許さないから!』

アゲハ「春…」

緩菜『俺もそうだよ、アゲハは俺の彼女だから』

倉木『え…嘘…』

緩菜『本当だよ』

倉木『そんな奴のどこがいいの!?アゲハより私の方が…』

緩菜『アゲハはすっごく優しいし世界一可愛いよ』

’’アゲハはすっごく優しいし世界一可愛いよ’’

緩菜…そんな風に思ってくれてたんだ…

倉木『ありえないありえない!私緩菜と付き合うためだけにこの職業に就いたのに!!』

緩菜『そうだったんだ、じゃあクビね』

倉木『え…な、なんで…』

緩菜『そんな下心しかない人好きじゃないから、もう来ないでね』

倉木『……うぅ…あ、あんたなんか大嫌いなんだから!』

捨て台詞を吐き逃げていった倉木の姿は滑稽で笑えた
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