テゾーロ様の日常☆

…ポーン♪…

テゾーロ「ハァ…もうこんな時間か…☆」カリカリ…パラリ……

大空を舞う小鳥達が精緻に描かれた美しい天井画…
珊瑚や宝石、象牙で作られた背の高い柱時計の柔らかな音が、夕刻の訪れを告げる。

今日はずっと書類仕事をしていたテゾーロ。軽く溜め息をついた。
新たな施設建設の確認や、世界政府や民間企業への署名…山程あるそれらの書類をずっと見詰めていたら、流石に目もくたびれてくる。

ようやくざっと書類を纏めた所で、能力を使ったタナカさんが床から軽やかに登場した。

…シュポン!…スタン☆
タナカ「…するる~♪…
テゾーロ様、そろそろショーのお時間が迫ってございますよ?御迎えに参上いたしました…ささ…お手をどうぞ☆」ス

テゾーロ「ああ…頼む☆」
タナカ「では、参りますよ?…するるる~!」スッ…!


タナカの能力は、他の者でも触れている間は共有できる。
テゾーロもその能力と共に、床の中へ一気に吸い込まれていった…

…………………………………………

Σわァァぁぁ…!!♪…キャーキャー!♡…ピー♪

テゾーロ『…世界一のエンターテイメンツ・シティ…!
グラン・テゾーロへ…ようこそ…!☆♪』


夜空に弾けるカクテルライト。
華やかなダンサー達は隊列を組んで、テゾーロを恭しく出迎えた。

ステージ上全てのスポットライトを独り占めする男…
煌びやかな衣装、キラリと輝くステージマイク。

表情豊かに感情を揺さぶるその歌声に、席を埋め尽くす観客達の大きな歓声が響き渡る。


…もっとその歓声を私に寄越せ…!もっと…もっとだ!

金も地位も捨てがたいものだ。
しかしそれよりも、歌に対する歓声と賛美…!
頭から爪先まで…そして、心から痺れる様なこの陶酔感…
ああ、これこそが私が私である為に本当に必要なものなんだ…!


テゾーロ『…ゴールド・スプラァーッシュ…!!☆♪』

人差し指を夜空に突き上げ、高らかに叫ぶ。
すると、その感情に呼応する如くグラン・テゾーロ内のあちこちから、黄金の噴水が激しく吹き上がった。

その光り輝く黄金は、歓声を上げる観客の頭上から雨の様に降り注いだ…

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