鰐の話

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鰐「…ιんぁ??おいおい、何だこりゃ……」プカァ

トンカントンカン…!
ダズ「お帰りなさい、ボス。
…猫用ケージを作ってます…!」ダダダ…

鰐「(ιケージ??…いや、アスレチックだろ)」スン


結局、1週間以上経ってから屋敷に戻ってきたクロコダイル。

…いきなり目に飛び込んできたのは、板や角材に張り切って釘を打ち付けているダズの姿だった。
腕捲くりをし、頭に汗止めのタオルを巻き、その顔は真剣そのものだ。

リビングには、今までハーブ系フレグランスが仄かに漂っていた筈だが、今は力強いウッディな香りに満ち溢れている。
そのリビング内の大半を区切る金網の中には、天井近い高さのキャットウォーク、爪研ぎ用に荒縄を巻き付けた柱、遊びやすいトンネルや段差のある登り棚が。
猫にとっては至れり尽くせりなのだろうが…


鰐「∑ιそれにしたって、なんでここ(リビング)なんだよ…!」

ダズ「ここには大きい暖炉もあって、一番暖かい場所だからですが?
…俺の部屋に作るにはちょっと狭すぎますし…」カンカン…!

鰐「ιだからってこれは一匹の猫に対して広過ぎだろ!」

ダズ「いえ、むしろ制限してる位ですよ。
…逆に屋敷の中を自由勝手に歩かせて、そこらで粗相をしたり家具で爪を研がれても困るでしょう?」


ιああ言えばこう言う…
寛ぎ空間である筈の落ち着いたリビングが、これからは子猫のアスレチック場になってしまうのか…?


鰐「ιⅢ〜〜……ハァァ…
…リビングの景色が台無しじゃねぇか…ι」

ダズ「リビングにあった絵や置物は、ちゃんと別の場所にレイアウトし直します。
猫トイレも勿論見えない様に板で囲います。
安心して下さい。猫はここ以外の場所には出しませんし…」ギーコギーコ…


鰐「…………ιお前そんなに猫好きだったか??」


ダズ「……俺はどちらかというと犬の方が好きですが………」カンカン…

鰐「……ですが??」


ダズ「(……)……ボス、今夜のメニューはビーフシチューなんです。もう風呂の支度も出来てますので、先に汗を流してきて下さい…」ギコギコ…


鰐「?……ああ。(……何か言い淀んだ?)」

気にはなったが、それ以上何も言う事無く、大工仕事に没頭するダズを背にバスルームへと向うクロコダイル。


鰐「……」ス
子猫『プスス…。。。』z…

リビングの片隅に置かれた段ボール箱の中には、タオルに埋もれる様にぐっすりと眠る渦中の子猫が。

出掛ける前より倍…とは言わないが、かなり大きくなった様に見えた。
ダズの手厚い世話のお陰か、随分毛艶も随分良くなり、腹もまん丸でとても満ち足りている様子だ。


鰐「(……!……そういえば言い損ねてたな…)」


長い廊下を抜け、バスルームに着く直前でそんな事にはたと気付いた。



…お前が世話しているその猫は、もう貰い手が見付かったんだぞ…と。
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