鰐の話

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その日の深夜……


鰐「(……)」…フ…


暗闇の中、ベットで横になっていたクロコダイルの目が不意にうっすらと開く。何かを感じ取った様だ…
クロコダイルはそのまま身動きもせず、注意深くドアの向こうの気配を探る。

それは足音も立てず、屋敷内の廊下を静かに移動している。…ああ、この独特な気配はダズだ…

何だ…と、思わず小さく溜息をついた。わざわざランプを点ける迄もない。

熟睡していても、何かの気配にはいつも敏感に反応してしまうのは海賊のさがだろう。


そういえば、あの子猫には大体2時間おきにミルクをやる必要があると言っていた。その為にわざわざ2時間おきに寝室とキッチンを往復しているのか?…何とまぁ甲斐甲斐しい事で…

カーテンの隙間から見える外はまだまだ暗い。
クロコダイルは布団を被ると、ドアに背を向ける様に寝返りをうち、再び目を閉じた…


…そして翌朝……
……………


鰐「そんなに小まめにミルクをやらなきゃいけねぇなら、いっそキッチンで寝たらどうだ?」チラ

ダズ「…ιⅢええ…俺もそう思い始めていた所です。」

鰐「(思ってたのかよι…)」


テーブルの上には、クロコダイルの分の朝食の支度がしっかりと出来上がっていた。

方やダズは、まだキッチンの片隅で子猫に哺乳瓶でミルクを与えている…
ここ数日、2時間おきのミルクやりプラス普段の仕事も通常通りきっちりこなしている。その分若干ダズはやつれてしまった様な。


ダズ「?…もう飲まないのか?ほら、もう少し…ι」
子猫『……ピャー…ι』

ダズ「ιおかしいな…昨日までちゃんと飲んでいたのに…」??

そんなダズの苦労を他所に、子猫がミルクを飲まなくなってきたらしい。何やら鳴き声も弱々しい様な…その時…

子猫『……ズビ。。。』


鰐「……あ?…鼻水出てねぇか?そいつ…」ジ

ダズ「?!…ι本当だ!…どうしましょう…」オロオロι
鰐「ιいや、そこまでは知らねぇよ…」


ダズ「(…!)…ι確か、隣の区に動物を診てくれる獣医が居た様な…!…」…バタバタι

鰐「…ιおい…?」


身支度もそこそこに、子猫の入った段ボール箱を抱えるダズ…

バタン…!
ダズ「…ιボス、食べ終わったら皿はシンクに置いておいて下さい!
…ιあと今朝のロッサの餌は、すみませんがボスがやって下さいッ…!」ドタドタ…


鰐「………ι…」ポカン


まるで嵐の様に屋敷を飛び出していったダズ。


…獣医と言っても、それは主に港で運搬を担う馬やロバを診る為の獣医だった筈。
それが、あんな厳つい坊主頭の男が小さな子猫を診て欲しいなんて連れてきたら、一体どんな顔をされるだろう。

…それを思うと、クロコダイルはシンクに皿を置きながら、少しだけ笑った。







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