鰐の話

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鰐「(…何だかなぁ…)」プカァ…


子猫というイレギュラーなタスクが発生してもダズの1日はほぼ乱れない。
朝早くからせっせと掃除洗濯に買い出しに料理、ロッサ(バナナワニ)の世話、クロコダイルからの指令(情報収集その他)もこなし、合間に邸宅周辺の警邏、そして…

子猫『…チュッチュッ…』
ダズ「(………)」ジ


キッチンの片隅で哺乳瓶で真剣に子猫にミルクを飲ませているダズ。
眼差しはまるで聖母……ではなく、殺し屋ダズそのままに鋭い。

子猫の入れられた段ボール箱には、ダズが使用していた古いシャツやタオル(いずれ雑巾に加工される筈)が敷かれ、空き瓶を利用した湯たんぽも入れられていた。
小さな哺乳瓶と子猫用ミルク…ダズは一体どんな顔で調達してきたものやら。


ダズ「(……)…よし、全部飲んだな…」スッ
子猫『ピャー♪…』


鰐「…おい、ダズ」

ダズ「コーヒーですね?ボス、少しお待ち下さい」
ジャー…ゴシゴシ

鰐「(……)…ああ」

いつもなら、クロコダイルが執務中には、一定の時間になると必ずコーヒーが出てくるが、今はそうもいかない。
コーヒーを持ってこいと言うついでに、そうしてミルクやりの様子をつい見ている…

ガスコンロに乗った仄かに湯気を出しているポットだって、子猫のミルクを作ったついでに沸かした湯なんだろうが、まぁ良い。
ダズは手際良く哺乳瓶を洗い片付け、きっちりと自身の手を洗いコーヒーを淹れる準備を始める。

…豆を挽く作業は見ていてちょっと楽しい。


ダズ「お持ちしますんで、部屋に戻っていても大丈夫ですよ?」ガリガリ…

鰐「…ああ♪」ジ
ダズ「ι??」

そうしてフィルターをセットし挽いた粉を入れ、数滴湯を入れ粉を蒸かす。それからゆっくりと細く湯を入れ始める。ふわりとドーム状に膨らんでゆくコーヒー粉…コーヒーを淹れる作業も、見ていてちょっと楽しい…
キッチンには格調高い香りが漂い始めた。さて、仕事に戻るか…

部屋に戻る前に、クロコダイルはそっと子猫の入った段ボール箱を覗いてみた。
すっかり丸くなった腹で湯たんぽにしがみつく様にくっついてモソモソと動いている子猫。真っ黒な毛なので、湯たんぽを覆う黒いカバーと一瞬同化して見えた…

……んん??


鰐「……おいダズ、この湯たんぽのカバーに使っている黒いのは……ι」コレ

ダズ「それですか?ボスの古くなった靴下です」コポポ…

鰐「……俺の靴下…だと…?ι」


ダズ「だってボスは靴下を1回履いたらもう2度と履かねぇじゃないですか。
…勿体無ぇんで再利用させて貰いました。」

鰐「ι待て…俺はいつもゴミ箱に棄ててた筈だが…」

ダズ「部屋を掃除した時に毎回回収してます。
ボスの靴下は素材が良いんで、屋敷の拭き掃除にはいつも便利なんですよ。
…あ…ちゃんと洗ってから使ってますんで。」カチャ…


鰐「(……)……ι当然だ。」



…次回からは脱いだ靴下は砂にしてやろうか…
だが掃除には便利らしいし…
…しかし靴下…ι…

自身の靴下にしがみつき、うとうと眠り始める子猫。


クロコダイルは複雑な思いと共に部屋へと戻っていった…

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