鰐の話

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ビュウゥゥ…ゴロゴロ…!

ダズ「(…結局嵐になったな。)」キュッキュッ…


夕食後のキッチンで洗い物をしているダズ。
シンク前の窓には激しい雨風が打ち付け、時折千切れた木の葉まで飛んでくる。
夕食前に降り出した雨は、夜になるにつれ雷まで伴い、激しさを増してきた。
これは相当落ち葉が散らかりそうだ。明日はボスの目に付く前に早めに庭掃除をしなくては…

いくら立派な屋敷であっても、ゴミが散らかり荒れている庭では周囲から怪しまれるし、何よりクロコダイルの機嫌が悪くなる。


ボスは汚い環境が嫌いだ。

…というより、自分自身と周囲が汚らしい状況が非常に気に入らない。…らしい。
散らかっている場所や不潔な人物を見ると、眉間に皺が寄り明らかに機嫌が悪くなる。

地獄の様なインペルダウンに居た時は別に涼しい顔をしていたが、暗く悪臭の漂う不潔な環境…そして、ゴミカスの様な汚らしい囚人共と一緒の空間に居たのが実はどんな過酷な拷問よりも不快であったと後にポツリと呟いた事もあった。

そういえばクロコダイルのスーツや髪型、身嗜みは常にきちんと整っていて、側に寄ると艶めかしく清潔な香りが漂ってくる。
…クロコダイルも粗野な海賊の1人ではないのか?


しかし『抵抗出来るのなら出来うる限り清潔を保っていたい』
…これが海賊クロコダイルの矜持らしい。

クロコダイルの矜持についてはよく分からないが、お陰でそんなダズもしっかりと躾けられ、自身の身嗜みは勿論、今やこの屋敷での掃除洗濯、買い出しから料理まで、メイド兼執事の様な立派な殺し屋(?)になった。


カタン…
ダズ「(……さてと…)」

洗った皿類も全て丁寧に拭き終え食器棚に収めた。
さっさとシャワーを浴びて、寝る前に戸締まりと屋敷周囲の確認をしてから寝よう。
明日は早起きして庭掃除だ…

そう思い振り返った時…


ビクゥッι…
ダズ「∑ッ?!……ιボスっ……いつから後ろに…!
…先に休んでいたのでは?ι」ドキドキ…!Ⅲ

鰐「(…♪)…嵐の音が煩くてな…ちょっと寝酒を取りに来たんだ。」ニヤニヤ♪

…全く気配を感じなかった。叫びこそしなかったが本当に驚いた…
ナイトガウン姿のクロコダイルは、してやったりといった風にニヤリと意地悪な笑みを浮かべている。


ダズ「(…これだからロギアは…ιヤレヤレ)…ι寝酒ですね……
こちらのブランデーにしますか?」ゴト…


鰐「ああそれで良い。寝室まで持ってこい…♪」スタスタ

ダズ「(……)……はい…」


…寝室まで…
これはクロコダイルからの『お誘いの合図』だった。



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