黄金と白煙


…今夜は風が強いのか、星がチラチラと瞬いている。ここは、グラン・テゾーロからも程近い距離にあるケー・バオッズ島…良質な馬産地と競馬場がある。
エゾホルも足げく通う、正に競馬の為にある様な島だ。

大きな競馬場は既に照明も落ち、最終レースも終わっているようだが…

…………………………

ヒョコ…
エゾホル「はー、オヤジ~冷やで一杯おくれ…
あと、ダイコンとタマゴも…☆」ヨッコラセ…

店主「Σへ…!?ι」ビクッι

ぼちぼち店仕舞いをしようとしていたおでん屋台に、突如現れた謎の生物…
年老いた屋台の店主は焦ったが、その生物は悠然と席に座ると、競馬新聞を拡げる。


エゾホル「…メインレースはやっぱフォーメーションで買った方が良いかな~…あー、でも明日は稍重ややおも予想かぁ……☆」ブツブツ…

店主「…???ιⅢ」

明日のレース展開を予想しながら、赤鉛筆で新聞にチェックを入れている珍獣。

ιタヌキが喋ってる…
ひょっとして自分は化かされているんだろうか?一応冷酒(もっきり)とおでんを用意すると…

グピ…
エゾホル「…///ッはァ~、五臓六腑ごぞうろっぷにしみわたる~♪…ι熱ッ…旨ぁ♪
…明日勝ったら焼肉でも食うか~☆…」ハフハフ♪…ズビビ…

店主「(…ιⅢ食べるし呑むし…)」??ι

箸を使ってそれは旨そうにおでんを食べ、置き皿に溜まった酒まで大事そうにチビチビと呑んでいる。そこに……

バサッ…
スモーカー「……よう、オヤジ。
ダイコンとタマゴと牛すじ…あと熱燗を……
Σιっ!?…お前は確か、テゾーロの側に居た…!…」ギョι

おでん屋の明かりに惹かれたのか、スモーカーが来店した。


エゾホル「あれっ?…そう言うあんたはスモやん中将?☆
へー、スモやんも競馬するモキャ?…いやー今日の競馬はムカつく程荒れたモキャね~!☆
お陰で、俺ここのおでん屋の支払い以外もう素寒貧すかんぴんよ~☆いやー参った参った♪」モッキャッキャ☆

スモ「…ιスモーカーだ…!それに俺は競馬はしねぇよ…
ここのおでんの味が気に入ってるから、たまに寄ってるだけだ…!…」
店主「?…あのぅ、このタヌキと知り合いなんですか?ダンナ…ι」ヒソ…

エゾホル「Σ#俺はタヌキじゃねぇぞッ!噛むぞオラァ!!☆」ガァ!(威嚇)
店主「ΣιⅢひぃー!?」
スモ「ι止めねぇか…!」

牙を剥き出しにして激昂するエゾホル…どうやらタヌキは禁句の様だ。

……………………………

エゾホル「…って訳で、俺は日々の激務の息抜きをする為にここに競馬しに来てるモキャ~…は~、息抜きって大事モキャよね~☆
…あ、牛すじもう1個食っても良いモキャ?」ハグハグ♪
スモ「(ι俺の牛すじ…)…ιそれにしたってもうレースはとっくに終わってんだろうが。…お前、グラン・テゾーロに帰らなくても良いのかよ?」

結局並んでおでんをつついている2人…

エゾホル「(……)…ιあー…えーと…う~ん…☆」
スモ「…?」

急に歯切れの悪くなったエゾホル。そこに…

ぷるぷるぷる…♪

エゾホル「ΣιⅢ…う゛ッ!?
…やべェ!…あわわ~、きっとタナカさんかも…!☆」ヒーι
…エゾホルの携帯している電伝虫が鳴った。
だが、エゾホルは慌てるだけで中々出ようとしない…

ぷるぷるぷる…♪

スモ「ι?…何で出ねぇんだ…?」

エゾホル「ΣιⅢんなもん、怒られるからに決まってるモキャよっ!…ιあ~!よりによって『こんな時』に~☆」ギーι

ぷるぷるぷる…♪…がちゃ☆
スモ「(……ハァ)……ιもしもし。」

エゾホル「ΣιⅢあー!?何でスモやんが取るモキャ~!?☆」ギャー!ι


テゾーロ『………ιもしもし?…えっ…?あれ…?
ιもしかして、スモーカー中将…!?☆』

スモ「ι!…テゾーロか?」

てっきりお付きのタナカが出ると思っていたが、まさかテゾーロ本人とは…

テゾ『ιどうしてエゾホルの電伝虫に…エゾホルは…!Σもしかして競馬場に乱入して馬に蹴られてケガでもしたの?!☆』??
スモ「(乱入??ι)…ι別に大丈夫だ…まぁ色々あって今一緒に居るだけだ。…そっちで何かあったのか?」

テゾ『……っ……ι別に…エゾホルが帰ってこないから連絡しただけで……☆』ゴニョ…
スモ「(……)…どうした?…」

バ!
エゾホル「ΣιⅢごめん、テゾーロさま~っ!
俺競馬でスッて、帰りのボート(船)まで質に入れちゃったから今夜は帰れないモキャ~!☆ι」ビエーンι
スモ「…Σιはァ…!?」

呆れた…競馬に負けた挙げ句、自分の移動手段(船)まで質入して帰れないとは…

テゾ『…ιⅢええっっ?………ハァι…
……ιも~…じゃあ今からグラン・テゾーロから迎えの船をやるから……☆ι』

エゾホル「…ΣιⅢぎゃー!待ってモキャ~!…
Ⅲそんな事したらタナカさんにバレるッ…!もしタナカさんにバレたら、俺恐ろしいお仕置きされる~!やめて~!☆ι」


テゾ『……ιⅢじゃあ…どうすれば……☆』ヘタリ…

スモ「?…ιエゾホルが帰らないと何かマズイ事でもあるのか?」

エゾホル「テゾーロさまは俺抱っこしてないと寝つけないモキャよ~☆」シレッ
テゾ『Σι///ちょっと…?!☆』カァァ…ι


スモ「………そうか……」

テゾ『…ι///~っ……
ι笑っちゃうでしょう?……
いい歳した大人が…しかも国王が、動物を抱っこしないと眠れないだなんて……☆ι』

スモ「(……)……別に…
国王だろうと大人だろうと、ダメな時ゃダメなもんだろ……」

テゾ『!……ιありがとう…☆///』

スモ「エゾホルは俺がグラン・テゾーロまで送ってやる…」グイ…(掴)
エゾホル「ιぐえ!?☆」


テゾ『Σι…でも…!☆』

スモ「構わねぇ。Gー5に戻るついでにコイツを届けるだけだ…少し待ってろ。じゃあな…」ガチャ☆

エゾホル「ιⅢ何でシッポ持ってぶら下げるモキャ~?☆…」プラーン…
スモ「(……)…何となくだ。
…オヤジ、勘定ここに置いとくぞ…」ジャラ☆

店主「まいど~…ι」

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