黄金と白煙


…ドルルン…!…ドルンドルン…

スモーカー「(……)…よし…」
テゾーロ「…気を付けてね~☆」

海上に停めていたビローアバイク。
それに跨がり、数度エンジンを吹かして様子を見るスモーカー。
テゾーロは通路の入口からそれを見守っている。

…スモーカーとはもうこれきりなんだろうか?……その時……


スモ「(……)……テゾーロ…これを……」モクモク…
テゾ「?…これは…☆」ス…

スモーカーが小さな紙切れを煙に乗せて寄越した。何か数字が書き込まれている…


スモ「…電伝虫の番号だ。また何か困った事があったらすぐ連絡を寄越せ。」
テゾ「ιあ…う、うん……☆」??

…海軍基地Gー5の番号を?今更?


スモ「………言っとくが、それは『俺の』電伝虫の番号だからな…?」
テゾ「///ιえっ…!?☆…」

スモ「……今回みたいに、眠れない時には掛けてくると良い。…話相手位にはなれるだろ…?…」

テゾ「…///~っ!♪…ありがとう…!☆」ギュ


嬉しい…
ようやく信用して貰えたんだろうか…?
心が温かくなる…スモーカーは何て優しいんだろう…やっぱり私は……


スモ「……じゃあな…」ドルルン…!

テゾ「(……)…待って!…私からも渡したいものがあるんだ…☆…ゴソ…
………これを…貴方に…☆///」ス


スモ「Σ!?…ιおいおい…お前、こりゃあ…!
ビブルカードじゃねぇか!…俺なんかに渡しても良いのかよ…?!ι」

テゾ「…良いんだ!スモーカーにあげるよ☆///」ニコニコ♪


それは、ビブルカード…
テゾーロがポケットから出して何気なく渡してきたものは、とんでもない代物しろものだった。

ビブルカードとは、新世界の職人によって、依頼主の体組織(爪や髪の毛)を混ぜ込んで特殊な製法で作られた不議な紙だ。
平らな場所に置くと、その主が今居る場所を目指してじりじりと動き出す。つまりその紙自体が『道標』になるのだ。それは、どんなに細かく千切っても…

ビブルカードは紙なのに、火の中に入れても燃えず、水に浸してもふやけて崩れもしない。
…その代わり、体組織を入れた者が病気になったり、怪我をした時は、まるで燃えてゆく様に小さくなり、回復するとまた元に戻る。
そして、万一その者が死ぬと欠片も残さず消え失せる…

別名『命の紙』…


しかし、元とはいえ『海賊』が『海軍』にビブルカードを渡すとは…
『私をずっと監視していて下さい・私は今ここに居てこんな状態です♪』…と、言っている様なもので…
多分、ここのカジノにやって来る世界中のV.I.P.客ですら『テゾーロのビブルカード』という、とんでもなく貴重なものを与えられた者はそう居ないだろう。


テゾ「それと…私から電話する時は『白電伝虫』を使うね。他の人に聴かれたくないお話もたくさんしたいし…☆///」

白電伝虫は、普通の電伝虫に接続して使う。
盗聴を防ぐ為の念波を出すという希少種だ。聴かれたくない話とは…?


スモ「(…♪)…分かった。
…だが、俺もその内ビブルカードを作ってお前に渡しにくるからな。」

テゾ「Σ本当に?…また来てくれるの?☆♪」
スモ「……ああ。」
テゾ「///嬉しいな…待ってるから…☆♪」


…笑顔で目を輝かせるテゾーロ。
電話番号ひとつでこんなに喜ぶとは。

強い海風に、乱れそうな髪を抑えている…
…しかし笑顔なのだが、どこか寂しさを感じる。


スモ「(……)…また会える…
だから、そんな寂しそうな顔をするな。」


テゾ「…ιえ?……笑っていたんだけどなぁ☆ι
私は寂しそうに見えた…?☆ι」


スモ「違うのか…?」

テゾ「(……)…うん…スモーカーと離れるのは寂しい…やっぱり寂しいよ…☆ι」…ビュウゥ…!

その時、2人の間に強く海風が吹き抜けた。
やがてその海風が止んだ時…


スモ「…………俺もだ♪」ニヤ
テゾ「……ι///…えっ?☆」…ポカン


スモ「…俺も寂しい。
だからまたすぐにお前に会いに行く…♪」ドルン!

テゾ「…~っ!♪///
…うん、うん!…待ってるから!☆♪」パァァ…



2人の想いがようやく通じ合った瞬間だった…
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