記憶(骸夢)
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彼女は、僕たちにとって光だった。
「うっ…くっ、」
『よしよし、よく頑張ったね犬。痛かったでしょう?』
実験体にされていた僕ら。
今日、犬は新しい力を手に入れた。
それは自ら望んだ事では無く、汚い大人達によって与えられた力だ。
『その傷じゃあ…暫く堅い物は食べられないね。』
「も、やら…いたい…」
『うん。よく耐えたね。』
彼女…ナマエは犬を強く抱きしめ、犬も彼女を抱きしめる。
彼女は僕よりも三つほど年上で、ここにいる子供達の中ではお姉さんという存在。
辛い実験から帰って来る僕たちをいつも抱きしめて迎えてくれる。
そして、必ずこう言うんだ。
『生きていてくれて、ありがとう。』
その言葉に千種は何を思ったのか、ナマエの首に後ろから抱きついた。
「……」
『千種も。おかえり。』
体中が痛い。
それは、同じ実験体の彼女も同じなのに。
いつも彼女は笑う。
僕たちに辛そうな顔を見せない。
それは、お姉さんの意地だとナマエは言っていた。
『骸。』
「っ、」
『おいで。』
優しく笑うナマエ。
僕も先程からナマエの所へ行きたくてうずうずしていた。
それを悟られないようにゆっくり近づけば、僕たち3人を包むように抱きしめる。
「ぅ…うわぁん!」
「犬、うるさい。」
「ら、らって…」
『犬…まともに話す事が難しくなっちゃったね。』
「ひっぐ…怖かったれす…」
『変わってあげられなくてごめんね。』
「…っ」
実験体を選ぶのは汚い大人。
僕たちだって彼女が実験体にされるのはイヤだ。
変わりたい。
彼女にどうか、苦痛な思いをさせたくない。
どうか僕たちの光を、奪わないで。