不審者(骸?)
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桜が、散り始めた。
早いなぁ、なんて教室でボーっとしながら桜を眺める。
「最近、この辺りでは不審者が多いので帰り道は…」
HRでは先生が最近起こっている事件について生徒に注意を呼びかけていた。
何でも、その不審者は女性ばかりを狙っているらしい。
全ては、桜の木の下で。
綺麗に咲く桜の地面では、女性から溢れ出た大量の血でいっぱいになっている。
悪趣味な犯人だ。
せめて言い伝え通り、桜の木の下に埋めれば良いのに。
「ナマエ。ちゃんと先生の話し聞いてた?」
隣の席のツナが、あたしの顔を覗く。
首を横に振ると、ため息をつかれた。
「今日は俺達と帰ろうよ。事件現場近いんだろ?」
『まぁね。でも、大丈夫だよ。』
不審者っていうものは、常に居るものだ。
運悪くその不審者に狙われるかどうかの話で。
だいたい、同じ現場にまた来るとは思えない。
ツナ達と帰るのが嫌な訳じゃないけれど、何しろ女子の痛い視線の方があたしには怖い。
「でも…」
『放課後は、男同士で遊んでなよ。あたしにはあたしの時間があるんだから。』
「……そっか。」
何だかあまり納得していなかったようだけど、何を言ってもあたしが頷くわけないって分かったらしい。
ツナも理解の良い人だ。
「明るい所を通るんだよ?」
『うん。』
「誰かに声かけられても、ついて行っちゃダメだよ?」
『分かってる。』
「あと…桜のある場所は通らないで。」
『…うん。』
無理だろ。
あたしの家の周りは桜がよく咲いている。
絶対に通る。
それはツナも分かっている事だ。
でも、それを確認しないと不安だったんだろう。
「では気をつけて帰るように!」
先生の言葉を合図に、生徒達は帰り支度を始めた。
あたしも鞄を持って、帰ろうと席から立つ。
「あの、ナマエっ」
『何?』
「その…っ、本当に気をつけるんだよ?狙われたら叫ぶんだよ?」
ツナはあたしのお母さんか。
でも、心配してくれるのは嬉しい。
『大丈夫だってば!また明日ね。』
「う…うん。」
せめて、暗くなる前に帰ろう。