gatta―別れの悲しみ―
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――――…
『にゃ…』
懐かしい、夢を見た。
そう、あの頃はまだ雲雀が飼い主だった。
「ナマエ?どうしました?」
私が突然起きた事に驚いたのか、今の飼い主である六道骸が私を抱き上げた。
「怖い夢でも見たんですか?泣かないでください。」
『……』
気付いたら、目から涙が溢れていた。
「よしよし、大丈夫ですよ。僕が側にいますからね。」
『……』
「何処か苦しいんですか?」
私の胸に、耳をあてた六道骸。
―トクン、トクン―
「……良かった。心臓はちゃんと動いていますね。」
『……』
私が車に跳ねられた時、心臓の一部が潰れたらしい。
だから、今の心臓は幻覚。
「クフフ。僕たちは、死ぬ時も一緒ですね。」
嬉しそうな顔。
私はもう生きた心地がしないのに。
『にゃあ…』
「どうしました?今日は夢見が悪いみたいですね。」
私がここから逃げて、雲雀の所に行ってもこの男は私を殺さないと思う。
いや、寧ろ、殺してほしいくらい。
ただ、最期に雲雀の顔を見たいだけ。
六道骸が死んだ時、私の命綱である幻覚が消える。
つまり、私は六道骸と一緒に死ぬ。
最悪。
この男を、殺してやりたい。
でも、どっちにしても私は六道骸から逃れる事は出来ない。
生きているのに、死んでいる気分。
「クフフ…いつも、見ていました。」
『……』
「まさか、あんな事でナマエが僕のものに出来るとは…思っていませんでしたよ。」
『……』
「恭弥もきっと、ヒナゲシの花言葉の意味を…理解していたのかもしれませんね。」
『っ、』
花言葉…?
「ナマエが恭弥にあげようとした花…ヒナゲシの花言葉は、 別れの悲しみ …恭弥は、死んだ貴方と別れて悲しむよりも、生きた貴方と別れて悲しむ方を選んだんですね。」
『――っ、』
暖かく笑った六道骸は、私の涙を舐め、口付けをした。
彼が、命の恩人?
私にとっては、悪魔にしか見えない。
殺してもらえた方が、私は幸せだ。
END