嫌われ番外編(山本夢)
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―バシッ―
『わっ。やっぱり駄目だった…』
「?」
ボーッとしていたから、今何が起きたのかわからなかった。
ナマエはバットを持ったまま立っていて、その足元にはボールが転がっている。
『速度を上げてみたんですけど…打てないですね。』
「……ハハッ、当たり前だろ…俺なら打てるけどな。」
野球を今までやって来た俺なら…打てる速度。
『当たっても打てないんですよね。』
少し悔しそうな顔をするナマエに、安心感を覚えた。
「ハハッ…ナマエにも出来ねぇ事があるんだな。」
『そりゃあ、ありますよ。持久力はないし。』
「でも、それくれぇだろ?」
またいつもみたいに、余裕で乗り越えるんだろ?
『山本武みたいに、皆を喜ばせる事もできません。』
“貴方を尊敬しますよ”
そう言ったナマエの顔は、悲しそうな笑顔だった。
あぁ、そうだった。
ナマエも人間だから、出来ねぇことくらいあるよな。
「そうか?俺は…」
『?』
「いや、何でもねぇ。」
俺は、
一人になっても強く生きて
優しくいられる
そんなナマエが羨ましい。
…なんて、言えるわけないよな。