百人一首(ツナ夢)
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忘らるる
身をば思はず誓ひてし
人の命の
惜しくもあるかな
『さようなら』
そう言い残して出て行ったナマエ。
最後まで俺の止める言葉を聞かず、ただ簡単にまとめた荷物を持って指輪を外した。
どうして俺達はこんな別れを迎えてしまったんだ。
また、笑顔で呼んでほしい。
ツナって言いながら駆け寄ってほしい。
でもそれは叶わない。
俺はマフィアの道を選んでしまったから。
ナマエは本当は嫌だったんだ。
だからそれを察してあげなかった俺が悪い。
だから俺はナマエを止めなかった。
「おいツナ、あれってナマエじゃねぇか?」
「え…」
別れて数ヶ月後。
山本と買い物をしていたらナマエらしき姿を見かけた。
一度も連絡を取らなかった俺達。
もしも今、山本か俺のどちらかが声をかけたら振り返ってくれるだろうか。また、俺の名前を呼んでくれるだろうか。
別れて月日が経ってもまだナマエを好きなんだ。
もし俺がまたやり直したいって言ったら、ナマエは頷いてくれるだろうか。
別れた俺達にもお互い好き合っていた時期はあった。
ナマエだってきっと俺の事を忘れていない。
あぁ、でも、いきなり俺から声かけるのはちょっと恥ずかしいや。
山本に頼もうかな…
「ナマエ…他の男と歩いてるな。」
「え…」
山本の声に少し疑いを持ちながら、ナマエの方を見た。
俺達の知らない男の腕に自分の腕を絡めて歩くナマエ。
昔の俺に向けるような笑顔を、相手の男に向けている。
「ツナ、その…」
「……」
「悪かった。」
「どうして山本が謝るの?」
「俺が見つけなければ良かったんだよな。」
「気にしないで。山本のせいじゃないよ。」
そっか。
ナマエはもう、俺を忘れたんだ。
新しい恋愛を見つけたんだね。
「ナマエ…幸せになって。」
「悲しくねぇのか?」
「うん。なんとも…」
「そうか。」
「ただ…心配なんだ。」
「心配?」
あぁ神様、愛を誓って破った彼女を、どうか幸せにしてください。
(忘れられる俺の事はなんとも思いません。
ただ神にかけて愛を誓った貴女が神罰を受けて失われないかと
それだけが心配です。)