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喜狂で思春期/過去拍手夢

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喜狂で青春
―笹川京子の場合―




「わぁ、このケーキ凄く美味しい!」

『それは良かった。』


しつこすぎない生クリームを使ったケーキ。
生クリームには豆乳を、スポンジには豆腐が入ってるらしい。
女の子には優しいケーキだ。
前の日にこの子から『明日、ケーキを持ってくるので食べてもらえますか?』って少し控えめに聞かれた。
ケーキが好きだからって事もあったけど、この子が私にそんな事を頼んできた事が何より嬉しくてすぐに「うん!」と返した。
後から果たしてこの子はケーキを作れるのかなとかちょっと不安になったけど、ケーキを見せてもらった瞬間にそんな不安は飛んだ。



「ふふっ、正直驚いた。こんな美味しいケーキが作れるなんて。」

『まだ試作品なので、出来れば改善点を教えていただきたいです。』

「改善……ない!美味しすぎだよ。完璧。」

『ありがとうございます。』


あ。
安心してる。


「誰にあげる予定なの?」

『ハルにあげるんですよ。』

「ハルちゃんに?」


あれ?
ハルちゃんと知り合いだったんだ?
ていうか、あれ?



『笹川京子が美味しいと言ってくれたなら、ハルもきっと美味しいと言ってくれます。』


ハルちゃんの事、呼び捨て?


「ハルちゃんと…仲良いの?」

『会ってる回数は少ないですけど。』

「へぇ」


私の事は笹川京子って呼ぶのに。
獄寺君や山本君にも同じ呼び方だったから、そんなに気にしてなかったけど。
ハルちゃんはハルなんだ。


「どうしてハルちゃんはハルって呼ぶの?」

『うーん、会った時にそう呼ぶように言われたからですかね。』

「そうなんだ。」


ハルちゃんから言ったんだ。
そうだよね、ハルちゃんって誰にたいしてもフレンドリーだし。


「良いなぁ…」


『笹川京子?』


小さく言ったつもりだった。
でも、そんな小さな声はこの子にはしっかり聞こえていた。


「あ、いや、何でもない!ケーキありがとう、ごちそうさま。」

『こちらこそありがとうございます。』

「あ、その、私トイレ行ってくるね!」

何だか恥ずかしくて、いそいで席を立った。



『本当にありがとう……京子。』

「っ、あ…」



ありがとうございます、じゃなくてありがとうって

笹川京子じゃなくて京子って



「ど、どういたしまして!じゃあ後でね。」

『はい。行ってらっしゃい。』




走って教室を出た。

一番側に居るであろうツナ君にでさえ、いつも敬語なのに。
私にありがとうって言ってくれた。
静かに笑うんじゃなくて、友達に向けて笑うような、無邪気な笑顔を見せてくれた。



(ドキドキ)



私、おかしいのかな…
嬉しい、なんて。
こんなにドキドキしてるなんて。
















―トイレから帰った後―

『お帰りなさい、笹川京子。』
「戻ってる…」



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