あと少し…

あと少しで、ナマエの肩に俺の手が触れたんだ。




「…は？」



『リボーンから、任務依頼の手紙が届いたんです!!ど、どうしよう…日本に行きたいです!!』


「お、落ち着けって。」


一息おくと、ナマエは俺から少しの距離をおいた。



「…で、どんな任務なんだ？」


『わかんない…あたし、いつも任務内容は任務を受けてから聞くんです。』


「なっ!!」


なんだよ、それ。
じゃあもしかしたらまた危ない任務かもしれねぇのか…



『ディーノさん。』


「な、なんだ？」



『あたし、リボーンの役に立てるかな…』


「……」



『あたし、この３ヶ月で…強くなりましたか？』




本当なら、“行くな。俺の所にいろよ”って言って抱きしめたい。

でも…



「ナマエは、この３ヶ月で…強くなった。」


『本当…に？』





「だから、ナマエが行きたいと思うなら…行っても良いんだぜ？」





ナマエが、好きだ。

抱きしめたい、キスしたい、俺だけのものにしたい。

でも、それをナマエは望んでねぇ。




『ディーノさん…この３ヶ月、ありがとうございました。』


「…行くのか？」


『準備…しなくちゃ。』


「そうだな。」



『あたしの我儘をきいてくれて…本当に、ありがとうございます。』


「いや、俺の方こそありがとうな。」



手を差し出すと、ナマエは俺の手に握手した。




「まぁ、ナマエは３ヶ月経っても色気だけは育たなかったな!!」
―バシンッ―



『ディーノさんの馬鹿!!』


ビンタされた俺は、尻餅をついた。



「イッテテ…」


『ベーッ。』


ナマエは、あっかんべーをして一瞬笑うと、俺に背を向けて走って行った。
きっと、日本に行く準備をするんだろうな。








朝起きたら、好きなやつが隣で寝ていて


起きたら仕度してデートとか行って


飯はいつも一緒で


お互い、信頼できる




そんな、生活に憧れていた。




「少し違ったけど…ま、いいか。」


ナマエが笑っていられるなら。



終り