夕陽
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窓から見える夕陽は、3ヶ月前と何も変わっていない。
温かい光なのに、心を淋しくさせていた。
でも今は…
『眩しい…』
眩しくて、直視できなかった。
「ありがとうな、ナマエ!!」
『いえ、此方こそ…すみませんでした。』
山本武の部活が終わり、あたしと教室で鉢合わせした。
ユニフォームを渡すと、あの頃にはわからなかった中学生らしい笑顔を山本武は浮かべていた。
その笑顔は、あの夕陽みたいに眩しい。
「ところで…よ。」
『はい。』
「その包帯、どうしたんだよ?結構…ひでぇのな。」
『あ、これは…』
「まさか、ツナに!?」
ガシッ、とあたしの肩を掴む山本武の顔は、あの頃とは違う…あたしを心配してくれている目だった。
『…違いますよ。あたしがただ、ドジしただけです。』
「そ、そうか…」
あたしの肩から手を離すと、山本武はユニフォームを鞄へしまった。
そうだ、試合は明日なんだった。
『あたし…今度こそは、皆さんと仲良くいられると思っていました。』
ポツリと呟いた一言を、山本武は聞き逃さなかった。
「何言ってんだよ?俺達はもう戦う必要はねぇんだぜ?
ナマエが…ツナから離れてくれんならな。」
『っ、それは…無理です。』
あたしがそう断ると、山本武は少し困ったような笑みになった。
「まぁ…ナマエが任務をやり遂げたいって気持ちもわからねぇわけでもないけどな。」
鞄を背負うと、山本武はあたしの頭を軽く叩いた。
「でもな…ナマエはいつか、ツナを守る事に後悔する時が来る。そしたら、いつでも来いよ。」
『……』
「な?ナマエ。」
『…どうして?』
「え…」
『どうして、3ヶ月前までは仮にも敵同士だったあたしに…そんな優しくするんですか?』
「何でって…」
山本武は、一度困ったような顔をした。
「仲間だから…だろ?」
『……』
「じゃあな、ナマエ。試合、ぜってぇ勝つからよ。」
山本武は、ニカッと笑って、走って教室を出ていった。
『仲間、ねぇ…』
何故だか、安そうな言葉に聴こえた。