確かに好きだった(雲雀夢)/思春期番外編
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『きょーちゃん、手繋いで良い?』
「うん。」
帰り道。
学校を少し離れると、ナマエが手を差し出してきた。
頷いて繋ぐと、ナマエは嬉しそうに笑っている。
『へへっ…あたし、きょーちゃんと会えて良かった。』
「……」
『あたし、ね…あまり友達が居ないの。』
ぎゅっと、ナマエが僕の手を握る力を込める。
『女の子が女の子を好きなのはおかしいって…
みんな、あたしを否定するの。
あたしはただ、男が嫌いなだけなのに。』
「……」
男が嫌い、か…
『ねぇきょーちゃん。あたし、ね…きょーちゃんが好きだよ。』
「うん」
『ずっと一緒にいてほしいの。きょーちゃんと…一緒に居たい。』
「ナマエ…僕…」
僕も、一緒に居たいよ。
「僕が、男だとしても?」
『え…』
手を繋いだまま、立ち止まった。
「ナマエ。僕は、男だよ。」
『う…そ…』
「嘘じゃないんだ。」
『そんな、うそでしょ!?』
ナマエと、いつまでも一緒に居たい。
でもそれは、僕が“男”としてだ。
「僕もナマエが好きだよ。」
『っ、』
「ナマエは、男の僕はイヤ?」
―パシンッ―
繋いでいた手が、乾いた音と共に離れた。
『男の…きょーちゃんなんてイヤ。そんな嘘、嫌い!!!』
「ナマエ、嘘なんかじゃ…」
『信じないんだから!!きょーちゃんのバカ!!』
―ダッ―
「ナマエ!!」
走って行ってしまったナマエ。
僕から離れていく。
でも、これで良い。
遅かれ早かれ、こうなる運命だったんだ。
「さようなら、ナマエ。」
それからナマエと僕が言葉を交わす事は無くなった。
学校で会ってもナマエは僕を避けるように逃げる。
そして数ヶ月後、僕は中学生になった。