虫の恩返し(骸夢)/思春期番外編
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「おや。」
骸と散歩していたら、蜘蛛の巣を発見した。
そんなもの、別に珍しくない。
ただ、その巣には虫が引っかかっている。
『骸?』
「クフフ、可哀想に。助けてあげましょう。」
『…あたしは触れないから、勝手にやれば。』
可哀想、なんて言うんだ。
骸が。
でも、骸がこの虫を助けてしまったら、餌に困って可哀想なのは蜘蛛だ。
もしかしたら久しぶりの餌だったかもしれない。
でもそういう自然界の事には興味無いから、骸が助けて満足するなら助ければ良い。
「これで自由の身ですよ。」
解放された虫は羽を広げて高く飛んで行った。
巣を壊された蜘蛛はただ、動かずにいる。
『こんな小さな虫を助けるなんて珍しいね。』
「実は昨日、鶴の恩返しという本を読みまして。」
『……下心?』
「下心です。」
『……』
呆れた。
それに巻き込まれた蜘蛛に少し同情さえする。
恩返しで何をさせるつもりなんだ。
『虫なんか、お礼に来ても嬉しくない。』
「何言ってるんですか、鶴だって綺麗な女性になって来たじゃないですか。」
『メスとは限らない。』
「野郎だったら蜘蛛に返しますよ。」
『こっちの蜘蛛がメスかもしれない。』
「…ハッ!!」
バカだコイツ。
何、しまったみたいな顔してんだ。
「ま、まぁ…きっと先程の彼女は夜の蝶になって僕の所へやってきますよ。」
『…夜の蝶?』
「クフフ、貴女にはまだ早い言葉でしたね。」
何だか偉そうな態度。
今日の骸はムカつくな。
でも、一言いわせろ。
『あれ蛾だよ。』
残念ながら夜の蝶にはなれない。
「…が?」
『うん。』
「僕が助けたアレが、ガ?」
『うん。』
「………GA?」
『うん。』
「ハァ……もう何だか嫌になりました。慰めてください。」
『知らない。勝手にすれば。』
「シコシコ?」
『っ、バッカじゃないの!?最低!!』
「まぁ、僕達何だかんだ愛し合ってるわけですし。今夜いかがです?」
『ひっ――!!』
骸があたしの肩に手を置いて、耳元で囁いた。
『――っ、気持ち悪い!!!』
骸の頬に、見事な手形がついた。
(蛾と蝶の見分けくらいつけろ!)