あのときの彼ら/思春期番外編
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10年後の世界で会った彼女は、ミルフィオーレの制服を着ていた。
「ど、どうして…」
『白髪に渡された服がこれだったから。』
「白髪?」
と、とにかく早く逃げなくちゃ。
何で彼女が敵のアジトに居るのかとか、そんな謎は後だ。
「あの、早く逃げよう。」
10年後の彼女は、俺が手を掴んでも振り払わなかった。
『サワダツナヨシ』
「な、に…?」
『10年前を生きてるお前にお願いがある。』
何だろう。
でも、良い予感はしない。
後にしてくれ。
俺達のアジトで、ちゃんと聞くから。
『骸を守って』
「…え?」
骸を?
え?
『あたしは…骸の幻覚の力が尽きたがら起きた。』
「あ…」
『だから、骸が今どうなったか分からないけど…』
何を言ってるんだ。
自分が何を言ってるか分かってるのか?
『骸の居なくなる世界にしないで。』
「っ、」
―パンッ―
乾いた音が響く。
彼女は赤くなった頬を抑えて、驚いたように俺を見た。
「ふざ…けるな…」
『は?』
「骸を、守るって事は…」
つまり、それは
「君は10年後の今も起きない事になるんだよ!?」
『……』
それを分かってて俺に頼んでいるのなら
君は何て残酷なんだ。
『だから何?』
「…え?」
『あたしは今起きていても何も嬉しくない。』
「あ…」
『骸は居ないし、骸を殺したかもしれない男に世話されて、変な戦いがおきたからママが生きてるかもわからなくて…』
彼女が、一度息を呑んだ。
『こんな、京子の悲しむ世界はあたしは要らない。』
あぁ、そうか
こんな酷い未来を作ってしまったのは俺なんだ。
俺がちゃんと生きて戦っていれば、少なくとも未来は変わったんだ。
「…ごめん」
『……』
「未来は必ず、俺が変えるから。」
彼女が、安心したように息をついた。
「君も、その未来で一緒に笑おう。」
『っ、』
骸の無事を祈ったり、京子ちゃんの幸せを祈るのは本当に君らしいね。
でも次は、君が幸せになるんだ。
『バカじゃないのっ』
「へへっ」
未来の君とは、少し近づけた気がした。
(つうか手触んな!)
―バキッ―
(ブハッ…そんな今更…)