喜狂番外編(骸夢)




もしもの話しですが、彼女が世界で独りきりになったとしましょう。

勿論、本当に誰も居ないという訳ではない。
皆居る。


でも、誰も彼女の存在を認めず、見ようとしない。

そしたら彼女は、どうするのだろう―――…







『別に…そのまま生活します。』


「意外ですね。復讐しようとか考えないんですか？」


『誰に復讐するんですか？』


「皆に、ですよ。」

『……』



彼女は黙った。
どう答えるのだろう。
まず、誰に復讐するのだろう。






『あたしは、大勢に認められたくて生きてるわけじゃない。リボーンに必要とされたくて生きてるんです。』


「ほう…そういう答えですか。ですが、そのアルコバレーノも、貴女を見放すかもしれませんよ？」



彼女は、自信たっぷりに笑った。
何だか、少し苛々する。




『リボーンがあたしを見放す？有り得ませんよ。リボーンはあたしを裏切らない。』


「……」


何故？




『あたしが、リボーンを信じているからです。』



「それはそれは」



あぁ、貴女はなんて…







『例えばリボーンがあたしを必要じゃなくなれば、あたしは自分でちゃんと消えますよ。』



なんて、生意気なんだ。

前は周りから散々嫌われていたくせに。





『それはそうと…10代目の体から、出て行って貰えませんか？』


「嫌です。」



僕が今居るのは、沢田綱吉の体。
彼の体を通して、彼女と話している。



『貴方は、誰かに必要とされたいんですか？』


「いいえ。僕は自分の意志で生きる。」



貴女はアルコバレーノの為に
僕は、自分の為に



『それはまた…寂しい人。それに…』

「全く、貴女という人は」






本当に、生意気ですね。








《生意気》