死ぬ気で妄想(ツナ語り)




『ねぇねぇ、チョコレートあげる！』


そう言って、既に袋から出されたチョコが４つ、目の前に出された。
…あきらか、怪しい。



「へぇ、美味そうじゃねぇか。」


「コイツの事だ。何か入ってんだろ。」


獄寺君の言うとおりだ。
普通のチョコを、この人がこんなにもニコニコしながら差し出すわけがない。



『うん、媚薬が入ってるの。』

「びっ」


あっさり認めた事にも驚いたけど、媚薬って……


「はは…じゃあ、いらねぇや。」


山本も、流石に媚薬入りチョコは食べたくないらしい。



『チッチッチ。私が媚薬入りチョコを全員分も用意すると思う？』

「「「思う。」」」


『うぜー。』


どうやら、今回は違うらしい。



『フフン。今回はロシアンルーレットにしたのさ！』

「ル、ルーレット!?」



何という発想。
…いや、らしいと言えばらしいけど。

と言うことはつまり、媚薬入りチョコは１つ。



「…いや、でも俺は遠慮するよ。」


『ツナのいくじなし!!』


なんとでも言ってよ！




『良いじゃん、楽しくて。当たった人、エッチしようよ。』


「「「……」」」


思わず獄寺君と山本と顔を見合わせる。
そりゃあ、好きな子とはシたい。
…男だし。


でも、気まずいだろ。



『ほら、せーので食べるよ！チョコ持って!!』


テキパキとチョコを渡される。
山本を見ると、もう食べる気満々だ。



『即効性だから、すぐにわかるよ。』


「わ…わかった」


こうなったコイツを止めるのはもう無理だ。
仕方ない、食べよう。
確率は低いし。




『せーのっ』

―パクッ―




あ。ミルクチョコだ。
山本と獄寺君も、まだチョコの味を確かめている状況で、当たりかどうかわからない。
まさか、アイツの自爆オチ？



「うっ！」

「ぐっ！」

「あっ！」



体に、異変が…
そう思った瞬間、山本と獄寺君も胸を抑えた。

まさか、



『あっはっは!!３人共ハーズーレー』


ケラケラと、苦しんでいる俺達を笑いながら見る。


「お、おかしいだろ…ロシアンルーレットって…」


『うん。当たりは媚薬無しね。』


そっち!?



『むふふっ…３人共、つらそう。』


息切れをしている獄寺君の頬を掴んで、彼女は満足そうに笑った。





『私がツナ達を楽にしてあげる。』





あぁ、やられた。
最初からこうなる事を予想して、コイツはわざと媚薬入りチョコを食べなかったんだ。

見事に、はめられた。





《策略》