決心
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―コツ、コツ―
廊下は、嫌なくらい静かで、今のあたしには少し重く感じた。
「おっ。」
『……』
タイミングが、良いのか悪いのか…
廊下で笹川了平に会うなんて…
『…今、授業中ですよね?』
「朝練に集中していたらな、遅刻になった!!」
…相変わらず、ボクシングですか。
そういえば、笹川了平と話すのもあの下駄箱以来だ。
今は落ち着いているのか、あたしに殺気を出してこない。
『では…あたしは急ぐので。』
「む?授業にか?」
『…まぁ、そんな感じです。では。』
あたしは、笹川了平に背中を向けた。
「…なぁ。」
『…はい。』
笹川了平に、背中を向けたままあたしは止まった。
「京子とは…仲直りできたか?」
この人は、やっぱり“お兄ちゃん”なんだ。
妹の事を気にかけて…
『仲直り…まだ、してないです。』
「ムッ。何故だ?」
『…なかなか話す機会がないから、ですかね。』
仲直り以前の問題だけど、この場を乗り切るためだ。
「心配するな!!京子は、いつまでも怒ってるような妹じゃあない!!」
『…そうですね。』
「だから、仲直りしたらまず、記念にボクシング部に入れ!!」
……やっぱりボクシングですか。
『入りませんよ。』
「何っ!?」
『早く授業に行った方が良いですよ。…では、あたしはこれで。』
あたしはまた、歩いた。
後ろで、笹川了平が何か騒いでいたけど、振り向かなかった。
『…っく…』
笹川了平の温かさに、涙を出していたから。
それに、あたしはもう少しで笹川了平とさようならだから、できれば仲が悪いままが良かった。