オレンジ畑から
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知っている人達が、順番に死んでいった。
何十年もかけて、ゆっくりと。
ゼロが死んだ時。
悲しいよりも、安心した。
スザクはもう、苦しまなくていい。
それがとても嬉しかった。
結局、ナナリーの配慮で顔が晒される事はなかった。
大変だったのは、ナナリーが死んだ時。
「ナナリィィィィッ!!うわあぁぁぁあぁぁっ!!」
勿論、ルルーシュの騒ぎが。
「ねぇ、C.C.。ナナリーが亡くなって、どれくらい経ったっけ?」
「半年は過ぎてるな。8ヶ月くらいか?」
「ナナリィィィィッナナリィィィィッ」
「殿下!お気を確かに!」
そのやり取りは、1年以上続いた。
最初は頭なでたり、色々慰めたけど。
流石に1年も慰めたくない。
確かに、ナナリーも他人と比べれば早かった。
でも、ゼロと一緒に国を支えたナナリー。
沢山の国民が、彼女の死を悲しんだ。
ナナリーは立派に生きたんだ。
「カレン…うわぁぁぁぁあぁっ!!カレンンンンンッ!!」
カレンも死んだ。
とても悲しくて、つらくて。
毎日泣いた。
ギアスの能力で、声が枯れることは無い。
それが余計に、落ち着かない気持ちになった。
「おい、C.C.。カレンが死んでから、どらくらい経った。」
「もうすぐ半年だ。」
「いい加減、殿下に迷惑をかけるのはやめろ!!」
「うるせー!!ルルーシュとジェレミアには絶対に注意されたくない!!」
沢山
沢山の命を、見送った。
この、オレンジ畑のある家で。
アーニャと過ごしたこの家で。
そろそろ、限界だろう。
そんな気はしてる。
ずっと、ここに住むわけにはいかない。
「朝ごはんできたよー」
いつも通りの朝。
たいして変わらない朝食。
いつも通りの掛け声。
いつもと違うのは、誰からも返事が無いということ。
「C.C.?」
「……」
「あの2人は?」
そっと、入ってきたC.C.。
私を見ると、小さく呟いた。
「ジェレミアが死ぬ。機械が止まるようだ。」
「……え?」
うそ、いきなりそんな…
昨日まであんなに元気で、いつも通り私に嫌味を言っていたのに。
「ちょっと…見てくる。」
「あぁ。」
パタパタと、スリッパの音をたてながら歩く。
悲しさよりも、驚きの方が大きい。
ジェレミアが、死ぬなんて。
「ジェレミア!」
「ナマエ…」
私がジェレミアの部屋に入ると、そこにはルルーシュが居た。
泣いてはいない。
けど、泣きそうなルルーシュ。
「アンタ死ぬんだって?」
「おい…随分、軽いな」
機械が何処かおかしいのか。
喋り方に違和感もあるし、機械音がする。
「アーニャによろしく伝えて。」
「あ…」
「あと、出来るだけみんなに、ごめんねって。私達はまだ死なないし、いくのは同じところではないから。」
「ふっ…やっと、死ぬと…いうのに…」
ジェレミアが笑う。
「まだ、まだ…いそが、しい…な…ぁ……」
ジェレミアが動かなくなった。
ルルーシュが私の手を握る。
私も、握り返した。
「ジェレミアの埋葬が済んだら、ここを出るぞ。」
「……うん。」
「もう、これで…悲しむのはきっと最後だ。」
もうみんな死んでしまったから。
だから、最後。
もう悲しむことは何も無い。
もう怖くない。
スザクの生まれ変わりを探す。
その希望を頼りに、私達は旅に出た。
(さようなら。皆、ありがとう。ごめんなさい。だいすきだったよ。)
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