オレンジ畑から
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5人で生活を始めて、21年が経った。
アーニャとジェレミアは、毎日一緒に居た。
ご飯を食べる時も、
何もしないで過ごす時も、
寝る時も。
今日、それが終わる。
「アーニャ…やだよ、アーニャ…やっぱり、やだよ。」
「ナマエ…」
もう間も無く。
アーニャは死ぬ。
時間がない。
ギアスを使いたい。
ベッドに横になっているアーニャの手を握っていると、強くそう思ってしまう。
向かい側にいるジェレミアは、ただ椅子に座ってアーニャを見つめている。
「ナマエ。最期くらい、未練たらしく泣くな。」
ルルーシュがタオルを差し出す。
C.C.は私の隣に来てしゃがむと、アーニャを見つめた。
「お前の事は、マリアンヌから聞いてずっと知っていた。だが、今日まで生活を共にするとは思わなかった。なかなか楽しかったぞ。」
「ふふ…私も…楽しかった。」
アーニャが二十歳を迎えてからは、よく三人でお酒を飲んだ。
女子会って呼んで、楽しく。
アーニャは意外とお酒に強くて、私達は一晩中遊んだこともある。
今ならまだ間に合う。
ギアスで治せる。
「ナマエ」
「アーニャ…」
「ギアスを、使わない約束…守ってくれて、ありがとう。」
「アーニャ…やだ、そんなこと言わないで!」
まるで、察しているかのように。
アーニャは私のギアスを止めてしまった。
「アーニャ。」
「ジェレミア…」
「また、待たせてしまうな。向こうで待っていて欲しい。遅くなっても、必ずいく。」
「きて、くれるの?」
ジェレミアは死ぬかわからない。
見た目は変わってないけど。
それでも、ジェレミアはアーニャの手を強く握った。
「あぁ。必ずいく。」
「ふふ…」
アーニャが笑う。
一筋の涙が零れた。
「嬉しい…待ってる。ずっと、ずっと…あなたを追いかけていたから…今度は、私が…待ってる…ね。」
アーニャの涙を拭う。
もう、目が虚ろだ。
私が見えてないかもしれない。
「ばいばい」
アーニャとは、ブリタニアで友達になって、日本で敵になった。
無表情なのに分かりやすくて、可愛い。
一緒に暮らしてからはまるで家族みたいで。
あり得ないってわかってるのに。
それでも、ずっと一緒って何処かで思ってた。
「アーニャ…アーニャ…!」
私は、死者は蘇らせられない。
心臓が止まったら、もう何も出来ない。
「だいすき…だいすきよ、アーニャ…」
ばいばい、ってアーニャは言った。
だから、私もさよならは言わない。
「ばいばい…」
先にいって、待ってて。