オレンジ畑から
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5人で生活を始めて、15年が経った。
「ナマエ。ちょっと来い。」
「え?」
洗濯物を干し終わり、C.C.とお茶にしようとリビングに来ると、ルルーシュに呼ばれた。
ルルーシュはダイニングテーブルでコーヒーを飲みながらの、パソコンと向かい合っている。
「何?コーヒーいれなおす?」
「いや、それはいい。それより、見ろ。」
何だろう、一体。
早くC.C.の為に、お茶菓子を用意したいのに。
ルルーシュの側に寄ると、ルルーシュは少し椅子を引いてパソコンの前をあけた。
その動きを見て、私はパソコンを覗き込む。
「あ…」
「たまたまだからな。監視カメラをジャックしていたら、たまたまな。」
「前置き長い。」
パソコンの画面から目が離せない。
にやけちゃう。
胸が熱い。
ただの、画面なのに。
「カレン…」
何十年経っても、貴女の事は分かるよ。
とても綺麗になったね。
とても幸せそうだね。
「お母さんに、なったんだね。」
赤子を抱えて微笑むカレン。
隣に居るかつての親友は、きっと父親だろう。
私の約束を守り、支えてくれた。
「このカメラでは、ほんの数十秒しか映ってなかったがな。」
「ううん。充分だよ。もう、見れないと思ってたから。」
カレンがカメラから消えたことを確認して、パソコンから離れた。
「ありがとう、ルルーシュ。見せてくれて。」
「どうってことない。たまたま見つけただけだ。」
テレすぎでしょ。
「それでも、私は嬉しかった。ありがとう。」
「……」
さて、用も済んだし。
C.C.にお茶菓子の用意を…
「ナマエ。後悔、してないのか。俺と一緒に死んだこと。」
「え?」
「本当なら、お前はカレン達と一緒に…」
「今更何言ってんの。」
「あ、あぁ…今更だな。今更だが、気になっただけだ。」
私の言葉に、ルルーシュは気まずそうに目を伏せる。
責めたつもりはなかったんだけどな。
「も、もし戻りたかったら言っていい。方法は考える。」
「ルルーシュ。」
「っ、」
ルルーシュの手に、手を重ねる。
その手は少し震えていた。
「怯えないで。」
「ナマエ…」
「大丈夫、ルルーシュ。」
懐かしい。
何度も言った、言葉。
久しぶりに言う。
「お前を、独りにはさせない。」
私は、ルルーシュに出会わなかったらシンジュクで死んでいた。
生きているという実感も湧かないまま、あっけなく。
ルルーシュが私を生かした。
それなら、私はルルーシュと死ぬべきだ。
「後悔なんてしてない。間違ったと思ってない。だから、そんなに落ち込まないで。」
「ナマエ…」
「カレンを見せてくれて、ありがとう。」
床に膝をついて、ルルーシュの手を握ったまま、おでこを乗せる。
「あ…ず、随分とサービスがいいじゃないか。」
「そう?単純に、嬉しかっただけだよ。」
満たされた。
胸の奥が、暖かくなる。
ルルーシュは私にいろんなことをしてくれたけど、
私はルルーシュに何もしてあげられない。
だからせめて、感謝の気持ちはちゃんと伝えたい。
「ナマエ、俺はまだーーー」
ーバンッー
「殿下、お助けを!!」
ルルーシュが何か言おうとしたけど、タイミング悪くジェレミアが入って来た。
扉の音に驚いて、頭を上げる。
何故か、半泣きのジェレミア。
私と目が合うと、顔を真っ赤にした。
「き、き、き、貴様!!殿下に何をしている!!」
「お礼。」
「そんなお礼の仕方があるか!!殿下の迷惑だ、離れろ!!」
「ジェレミア。」
ルルーシュの言葉に、ジェレミアが止まる。
「殿下はやめろ。それと、慌ててどうした。」
「はっ!!」
忘れてたのか、今度は顔色が青くなった。
顔色変化の激しいやつだ。
「実は、暇だからと言ってC.C.がアーニャと手を組んでドロを投げてくるのです…」
「あのバカ共は何をしているんだ!!さっさと呼んでこい!!」
「え、私が?」
いきなり振られてびっくり。
何で私が。
「もう…」
きっと、C.C.もアーニャも、お腹がすいてるんだ。
丁度いい。お茶にしよう。
「C.C.ー!アーニャ!お茶菓子あるから、一緒に紅茶飲もう!!」
窓から身を乗り出して叫ぶと、2人は走って来てくれた。
「2人もいるでしょ?」
「あぁ。」
「私はいい。まだ畑仕事が残ってる。」
「あっそ。」
ジェレミアがルルーシュに一礼をして出て行く。
私は、台所に入った。
もう少しでドロまみれのC.C.とアーニャが来るかな。
お湯を沸かしておこう。
2人が手を洗ってる間に湧くだろう。
もしかしたら、着替えて来るかもしれないし。
「ナマエ。」
「なに?」
ルルーシュに背中を向けたまま答える。
ヤカンに火をかけて、ティーポットに紅茶の葉を入れた。
「ずっと言ってないと思うが…ずっと、思っていた。」
「なにをー?」
カレンの赤ちゃん、可愛かったな。
そうだ。
C.C.にも、この話をしよう。
「ナマエがここに居てくれて、嬉しかった。これからも居て欲しい。」
「……」
危ない危ない。
ティーカップを落とすところだった。
「そのつもりだよ。」
いきなり何を言い出すかと思ったら。
今度はデレかよ。
「もう、赤ちゃんのいる年になるのか…」
カレンの幸せに安心して、私は次にアーニャが心配になった。