オレンジ畑から
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5人で生活を始めて、1ヶ月が経った。
私やルルーシュは基本的に外に出ない。
ルルーシュと私は、まだ人に見られてはいけない。
死んだばかりだから。
私は家事をやって過ごしている。
5人も居れば、洗濯物は毎日やらなくてはいけない。
幸いこの土地はすぐ近くに人は居なくて、
通っても馬車に乗っているから音で分かる。
食材の調達は、ほぼネットだ。
ルルーシュが家計を考えながら注文している。
経費はジェレミアの貯金と、ルルーシュのネットによる稼ぎと、オレンジ畑があるので困ることはない。
オレンジ畑の方はたいした稼ぎも無いけど。
アーニャは、ほとんど毎日ジェレミアのオレンジ畑の手伝いをしている。
「本気なのか……」
「何がだ。」
私は洗濯物をたたみ、
ルルーシュはネット中。
C.C.はピザを食べている。
私が溜息をつきながら呟くと、ルルーシュが反応した。
「好きみたいなの。」
「なっ!?」
「最初は、気の迷いっていうか…若気の至りっていうか、とにかくすぐにどうでも良くなるって思ってたの。」
「な、おまえ…なにを…」
アーニャが誰かに依存するなんて、想像できなかった。
だから、ジェレミアの事もすぐに飽きると思っていたけど。
でも、アーニャはずっとジェレミアの側から離れない。
「ジェレミアの事、本気みたい。」
応援しても、いいものなのかな。
ジェレミアってほとんどロボットみたいなものだし。
「ルルーシュ?」
「……」
「だめだな、ナマエ。ルルーシュは驚いて固まっているぞ。」
ずっと会話を聞いていたC.C.が笑う。
「驚いてって…あんた、まさか知らなかったの?」
あれは、アーニャをよく知らない人でも分かるだろ。
「し、知るか!!一体いつからだ!?
」
「いつって…多分、ゼロレクイエムの戦争の時じゃないかな?」
「そんなに前!?」
うーん。
だって、あの時に記憶を取り戻したみたいだし。
あれがきっかけだしね。
「それで、協力をね…」
「しないからな!!」
しようか迷ってるんだよね。
って言いたかったんだけど。
「スザクと付き合っておきながら、ジェレミアを見ていたなんて…情けないっ」
え、何泣いてんの。
めっちゃ歯食いしばってる。
「ちょっと、何の話し?」
何で私が軽蔑の眼差しをうけなきゃいけないんだ。
「ふふっ…あははは!!もう、無理だ…くくく…ピザが食べられん」
「C.C.?」
「ダメだぞナマエ、ルルーシュはおバカで鈍感なんだ。くくくっ」
C.C.の言葉に、ルルーシュが眉間に皺をよせる。
「何だ。」
「ナマエが話しているのは、アーニャの話だよ。」
「アーニャだと?」
「アーニャはな、ジェレミアが好きなんだ。それを、ナマエは応援するべきかという相談をしていたんだよ。」
ルルーシュの顔が赤くなっていく。
勘違いしていたことに気付いたらしい。
「先にそう言え!!」
「え、本当に気づいてなかったの?周り見えてる?」
「本気の心配そうな眼差しはやめろ。」
やっと状況を理解したルルーシュ。
口をへの字にして、またパソコンと向かい合ってしまった。
相談したのに、なんだよ。
まぁいいや。
こんな鈍感なやつに相談しても、仕方ない。
「ダメだからな。」
「え?」
「あの2人は結ばれない。そうなってはいけないんだ。だから、応援はするな。」
ルルーシュは私の方を見ない。
私が怒ると分かっているからだ。
「どうして?もう敵同士でも無いんだし、いいじゃない。応援くらい。」
「ダメだ。」
「だから、なんで…」
「アーニャは必ず、俺達より先に死ぬ。ジェレミアも含め、俺達はいずれアーニャを置いていかなければいけない。」
「あ…」
アーニャは、この中で唯一の、普通の女の子。
普通に年を重ねて、普通に死ぬ子。
「でも、ジェレミアは?あいつも、死ぬんじゃないの?」
「機械の調子や修理にもよるが、戦争前にロイドに見てもらったところ、ジェレミアも年をとりにくくなるらしい。」
「そんな…」
「だから、応援なんて真似はやめろ。後から可哀想なのは、アーニャだ。」
窓から外を見る。
絶対に結ばれない2人は、今日も仲良くオレンジ畑の世話をしていた。