日本の記憶(カレン・直人)
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カレンと過ごした日々はあっという間だった。
気が付けば、出会ってから一年だ。
でも、私は相変わらず日本が嫌いだった。
どうしても、魅力が分からない。
「ナマエは、日本が好きか?」
「え?」
直人に言われた一言に、心臓が跳ねるような感覚を覚えた。
私は日本や日本人が嫌いだと、誰かに言ったことは無い。
でも、もしかしたら。
直人は気付いている?
「……」
直人は優しく笑っていた。
何だか嘘をつくのも馬鹿らしい。
「嫌い。日本なんて嫌いよ。私はたまたま日本で生まれただけで、本来ならブリタニア人なの。私は将来、ブリタニアで暮らしたい。」
言った。
初めて、他人に。
口に出して言うと、何だか子供っぽい。
「そっか。残念だな。」
「……」
残念?
自分から聞いてきたくせに、求めていた答えと違っているから?
だとしたら、なんて勝手な男だ。
「ナマエと将来、離れて暮らすのは寂しいな。」
「っ、」
寂しい?
私と、離れる事が?
そんなわけない。
私は直人に愛想が無い。
「カレンも寂しがるよ。」
そうだ。
私も、カレンと離れるのは寂しい。
私はカレンが大好きだから。
「直人はどうして、寂しいの?」
どうせ、カレンの友達だからとかそんな理由だろうな。
私達には関わりが無いし。
「ナマエが遠くに行ってしまうのは、寂しい。ただそれだけだよ。」
「…そう。」
寂しい、のか。
私に日本に居てほしいのか。
私は、日本に居て良いのか。
「ナマエ。」
「な、に」
「泣きたい時に泣いた方が良い。後がツラくなる。」
直人が私の頭を撫でる。
私と直人の目の前には、お墓が。
「お母さん…うっ…くっ…お母さんっ」
お母さんは病死した。
日本の魅力を沢山教えてくれたお母さん。
私は最後まで、それを理解してあげられなかった。
「うわぁぁぁんっ!!」
雪の降る寒い季節。
それなのに直人は、お墓の前で泣く私の頭をずっと撫でてくれた。
それだけじゃない。
私に、日本に居て良いのだと教えてくれた。
私は、此処に居て良いんだ。