忘れられた人(ライ)
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神根島に着いて、どれぐらいの時間でライを見つけられるか不安だった。
まだ軍もいるかもしれないし。
でも、そこは予想外にも簡単に解決した。
海から神根島の周りを回っていると、ライが浜辺で1人座り込んでいるのが見えた。
ポートマンで浜辺に上がっても、警戒しない。
私はナイトメアから降りて、ライに近付く。
「ライ。」
「っ、ナマエ…」
「迎えに来た。帰ろう。」
ライが顔を上げる。
驚いたような表情で私を見たかと思ったら、今度は泣きそうな表情を浮かべた。
「随分酷い怪我だな…歩ける?」
「意外、だよ。ナマエが僕を迎えに来るなんて。」
「サンドイッチの礼だ。」
「はは…凄い豪華な礼だ。」
空元気、というやつかな。
悲しそうに曇った瞳が、どうしても笑っているようには見えない。
「歩けるなら早く動け。潜水艦が動いたら、戻れない。」
「ナマエ1人で来たのか?」
「他に誰かいるように見えるの?」
「ナマエには驚かされてばかりだ。一番僕を警戒していたのに、迎えに来るなんて。」
だって、私しか知らないもの。
ライが神根島に居ることなんて。
「ナマエ。僕はね、全て思い出したんだ。」
「…そう。」
まだ動かないつもりだろうな。
仕方ない。
時間にもゆとりがある。
座り込むライの側に歩み寄った。
―グイッ―
「わっ」
手を引かれ、膝立ちになる。
すると、ライが私の背中に腕を回し、肩に顔を埋めた。
「は、離せ!何をする!」
「少しだけ。」
「はぁ?」
「少しだけ、こうさせて。」
何なの、一体。
「この貸しは高いからね。」
「うん…好きなだけ、クレープ奢るから。」
「……じゅるっ」
「汚いなぁ。」
クレープを、好きなだけ?
最高だ。
「っ、」
ライが腕に力を込める。
「僕は…僕は、呪われた人間だ。誰も幸せに出来ないっ」
「……」
「大切な人は、もう生きていない…みんな、僕がっ!」
記憶が戻って、感情のコントロールが出来ないのだろう。
ライは子供のように泣き、そして震えていた。
「……」
ライの背中を撫でる。
私には訳の分からない事ばかりだけど、辛かったのだろう。
でも、同情はしない。
「それでも、生きるんだよ。」
どんなに重い罪を背負おうと。
私達は、今を生きるの。